ライーシー大統領とアブドゥラヒャーン外相がヘリ事故死(イラン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月21日 10時0分
イスラーム共和国通信(IRNA)は、イランのイブラーヒーム・ライーシー大統領、ホセイン・アミール・アブドゥラヒヤーン外相が、5月19日に起きたヘリコプター事故により死去した、と報じた。
IRNAは、現地時間5月20日朝、「ライーシー大統領、国家奉仕中に殉教」とする記事を掲載。同大統領がアゼルバイジャンとの国境にあるダムの開所式の後、ヘリコプター事故で殉教したと報じた。また、事故を起こしたヘリコプターには、アブドゥラヒャーン外相、東アゼルバイジャン州知事なども同乗しており、現場に到着した地元当局者の話として、大統領をはじめとした同行チーム全員の「殉教」を確認したとしている(5月20日付IRNA)。
同大統領の死去を受け、イラン内閣は声明を発表。大統領、外相および随行していた政府関係者の殉教に対して哀悼の意を表すとともに、「不屈で、勤勉な大統領は、国家に奉仕する道において、究極の犠牲を払った」とした。また、声明では、「われわれは忠誠心と感謝の気持ちを持ち、英雄であり国民の奉仕者であり、最高指導者の忠実な友人であるアヤトラ(注)・ライーシー師の不屈の精神で奉仕の道が続くことを保証する」と述べた。さらに、「国家の運営に欠陥は生じないだろう」と付け加えた(5月20日付IRNA)。なお、最高指導者が5日間の服喪期間を設けた。
イラン・イスラム共和国憲法では、大統領が死去した場合などは、最高指導者の同意を得たうえで、第1副大統領が職務を引き継ぐことになっており、IRNAでは、最高指導者の承認を得て、ムハンマド・モフベル第1副大統領が暫定大統領に就任する、と報じている(5月20日付IRNA)。また、第1副大統領、司法府長官、議会の長で構成される評議会は、最長50日以内に新しい大統領が選出されるように調整する義務があるとしている。
なお、日本大使館がある首都テヘラン北部は、5月20日午前中現在では特に混乱もなく、平静という。
(注)アヤトラ:イスラム教シーア派の12イマーム派の中でも最上級の指導者に与えられる称号。アヤトッラーともいう。
(鈴木隆之)
(イラン)
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