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「EV義務化」廃止の米大統領令、専門家は不確実性による社会への影響を懸念(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月24日 12時0分

米国のドナルド・トランプ大統領は1月20日、「米国のエネルギーを解き放つ」と題したエネルギー政策に関する大統領令で、自動車の入手に障壁となる規制や、不公平な補助金といった「政府が課す不適切な市場のゆがみ」を排除し、ガソリン車の販売を制限する州に与えられる排出ガス規制の適用免除を終了させることで、「電気自動車(EV)の義務化」を廃止する方針を発表した(2025年1月22日記事参照)。連邦政府やカリフォルニア州の環境規制、バイデン前政権下で施行された各種法規制に基づくEV普及策の見直しにより、「消費者の真の選択」を促進させる意向だ。

具体的には、ジョー・バイデン前大統領が2021年8月に発令した大統領令「クリーンな自動車およびトラックにおける米国のリーダーシップの強化」(第14037号)の廃止や、インフレ削減法(IRA)、インフラ投資雇用法(IIJA)を通じて割り当てられた資金の支出の一時停止が盛り込まれた。資金支出の停止に関しては、全米の主要な高速道路での充電器設置を目的とした「NEVIフォーミュラプログラム」などが対象として言及されているものの(2022年9月29日記事参照)、そのほかの詳細は明らかになっていない。また、大統領令第14037号は、全車両販売に対するクリーンビークル比率を2030年までに50%とする前政権下での目標や、2027年モデル車以降の温室効果ガスと排ガス、燃費に関する基準値の制定を指示しているもの(2022年9月29日記事参照)で、同令の廃止が規制自体の取り消しを示すかは不透明だ。

EVシフトを阻むトランプ氏の政策に対し、バンク・オブ・アメリカのジョン・マーフィー自動車業界アナリストは、「(EVへの)移行が遅くなれば、直ちに雇用リスクは減少し、当面は雇用にプラスになる」との短期的なメリットを挙げた上で、「しかし10年後にEVが本格的に普及した際に、必要な投資が行われていない場合、米国の雇用に大きな打撃を与える可能性がある」との懸念を表した。一方で、センター・フォー・オートモーティブリサーチ(CAR)のベンカーテッシュ・プラサード・シニアバイスプレジデントは「われわれはEVへの長期投資を見てきた。それらは変わらない」とし、バッテリー分野での雇用増に依然期待を示している(「ワシントン・ポスト」1月22日)。

また、全米電気自動車協会(EDTA)のジェネビエーブ・カレン会長は「われわれは、合理的な見直しによって(IRAやIIJAなどの)プログラムの重要性が確認されると確信しているが、こうした(深刻な)レベルの不確実性が、メーカーや消費者、地域社会に与える破壊的な影響について非常に懸念している」とし、社会の広範囲に与えるインパクトを危惧した(ポリティコ1月22日)。

(大原典子)

(米国)

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