米内務省、ニューヨーク向け電力供給用の洋上風力発電プロジェクト承認(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月27日 15時0分
米国内務省の海洋エネルギー管理局(BOEM)は3月26日、ニューヨーク(NY)向けの電力供給が予定されているサンライズ・ウインド洋上風力発電プロジェクト〔NY州モントークから東約30マイル(48キロ)〕を承認したと発表した。バイデン米政権下で承認した商業規模の洋上風力発電所としては7例目となる。
同プロジェクトは、デンマークのオルステッドと米国エバーソース・エナジーのジョイントベンチャーのサンライズ・ウインドが事業主体となって計画しているもので、総発電容量は924メガワット(MW)規模となる見込み。これは、BOEMによると、32万世帯以上への電力供給が可能な容量という。このプロジェクトでは、2026年の稼働を目指し、今後最大84基の風力タービンを建設していく予定で、これにより7億ドルの投資と800人以上の直接雇用、数千人の間接雇用の創出を見込む。また、運営段階でも年間300人の雇用が見込まれるという。
今回の承認について、アリ・ザイディ大統領補佐官兼国家気候アドバイザーは「7例目となる本日の洋上風力発電プロジェクト承認は、バイデン政権が洋上風力発電産業と全米の労働者、地域社会にもたらしている勢いの高まりが継続していることを意味している」と述べた。インフレ削減法(IRA)税額控除のエネルギーコミュニティー加算に関して、洋上風力発電をより適用しやすくしたこと(2024年3月26日記事参照)や、メーン湾での洋上風力発電向けリース区域の指定(2024年3月19日記事参照)をはじめとする取り組みを続ける。これにより、バイデン政権が打ち出す2030年までに洋上風力発電を30GW(約1,000万世帯分)まで拡大するとの目標(2023年3月31日記事参照)に向かう。
洋上風力発電に関しては、インフレや高金利などを理由に事業の撤退・縮小といった事例も散見されるものの、NY州のサウスフォーク風力発電プロジェクトが稼働し始めたほか(2024年3月18日記事参照)、マサチューセッツ州のビンヤード風力発電プロジェクトも2024年1月に試運転を開始するなど、徐々に軌道に乗り始めており、2030年に向けてさらなる拡大が期待される。
(加藤翔一)
(米国)
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