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301条関税引き上げに中国政府が反論、影響は品目によりばらつきか(中国、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月20日 0時55分

中国商務部は5月14日、米国のジョー・バイデン大統領が1974年通商法301条に基づく対中追加関税(301条関税)の関税率引き上げを指示した(注1)ことに対し、断固とした反対と厳粛な申し入れを表明した。

商務部は、米国は国内の政治的要因で301条を乱用しているとして、強い不満を表明した。その上で、WTOは301条関税をWTOルール違反と判断しているにもかかわらず、米国は誤りを正さないどころか、独断専行して過ちを繰り返していると批判した。

また、今回の指示はバイデン大統領の「中国の発展を押さえつけることはない」「中国とのデカップリングは求めない」という承諾(注2)に反し、両国の協力の雰囲気に重大な影響を与えると警告した。今後、中国は断固とした措置を取り、自らの権益を守るとした。

5月15日には在米中国大使館が反論を発表し、関税率引き上げは輸入コストを高め、米国企業・国民に損失を与えるだけだとした。その上で、米国が手段を選ばず、中国の正常な経済・貿易・科学技術活動を押さえつけようとするのは、自信のなさの表れだと批判した。

中国大手証券会社の中信証券は5月15日のレポートで、関税率引き上げの動機について「大統領選挙に向けた支持獲得のため」とし、対象分野の対米輸出比率が低いことなどから、中国側への影響は限定的だと分析している。

今回の指示により、鉄鋼・アルミニウム、半導体、電気自動車(EV)、バッテリー、重要鉱物、太陽電池などが引き上げ対象となるが、具体的品目は5月19~25日に公示予定とされる(注3)。

対象に該当する可能性がある品目について、2023年の統計(注4)で中国の輸出に占める米国向けのシェアを見ると、EV(HS870380)は金額で1.0%(輸出額は3億3,218万ドル)、台数で0.8%(1万2,401台)にとどまる。半導体についても、半導体デバイス(HS8541)は1.5%(9億1,577万ドル)、集積回路(HS8542)は1.7%(23億2,938万ドル)、光電池(HS854142、HS854143)は0.3%(1億1,182万ドル)とわずかだ(注5)。

一方、蓄電池(HS8507)は20.1%(141億ドル)、鉄鋼製品(HS73類)は13.6%(135億ドル)(注6)、アルミニウム・その製品(HS76類)は10.9%(38億ドル)で、いずれも米国向けが最大を占めている。

(注1)詳細は2024年5月15日記事2024年5月15日記事参照

(注2)詳細は2024年4月4日記事参照

(注3)詳細は2024年5月16日記事参照

(注4)貿易統計データベースのグローバル・トレード・アトラス(GTA)のデータ(原典は中国税関統計)による。文中表示桁以下は四捨五入した。

(注5)リチウムイオン電池、EV、太陽電池は中国の輸出を牽引する「新三様(新御三家)」と呼ばれている。なお「老三様(旧御三家)」は衣類、家電、家具を指すとされる。

(注6)鉄鋼(HS72類)は1.1%(7億6,999万ドル)。

(河野円洋)

(中国、米国)

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