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家庭用品小売りのコンテナ・ストアが破産法を適用申請、全米の小売店の閉店数は2020年以降最多(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月25日 11時15分

米国の家庭用品小売りのザ・コンテナ・ストア(本社:テキサス州コペル市)は12月22日、米連邦破産法第11章(Chapter 11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。同社によると、破産手続き中も店舗と電子商取引(EC)サイトの運営を継続する方針で、今後35日以内に再建計画を確定し、今後の成長に向けた体制を整える。新たに4,000万ドルの融資を受ける予定で、これまでの債務を大幅に削減する見通しだ。

1978年創業のザ・コンテナ・ストアは、シンプルなライフスタイルの提案をコンセプトに、収納や整理用品を専門に取り扱う小売業者として米国では業界大手で、全米34州に100店舗以上を構えるまでに成長した。2019~2020年ごろには、片づけコンサルタントのアイコン的存在で知られる近藤麻理恵氏によるネットフリックスの番組がヒットしたことから、収納用品を扱う同社への注目も高まった。2021年からは近藤氏とのコラボ商品シリーズの販売を開始し、同社の業績は急伸した。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミック以降は売り上げが低迷し、2024年第2四半期(7~9月期)は、売上高が前年比10.5%減少し、3,080万ドルの損失となった。インフレや経済的不確実性の高まりから、消費者の節約志向はなお強く、アマゾンやTemu(テム)のような安価なオンラインプラットフォームの台頭で、他社との競争が激化していた。また、2023年には住宅ローン金利が8%近くと20年ぶりの高水準に達し、現在も7%近くで推移していることから、多くの人々が住宅を売買できず、住宅市場の凍結が同社のビジネスにも大きな打撃を与えることとなった(CNN2024年11月29日)。

米国では消費者の節約志向が高まる中、多くの企業が苦境に立たされており、これまでにも2024年9月には家庭用品のディスカウント大手ビッグ・ロッツ(2024年9月18日記事参照)、12月にはパーティー用品販売を手掛けるパーティー・シティも破産法第11章の適用を申請している。調査会社コアサイト・リサーチによると、2024年初めから11月8月までの全米の小売店の閉店店舗数は6,481店舗に上り、パンデミック最盛期の2020年以降で最高水準に達している。小売業者全体が、金利や人件費の上昇、住宅市場の低迷など複数の困難なマクロ経済要因に直面している中、消費者の嗜好(しこう)の変化、他社との差別化に苦戦する企業は厳しい状況に置かれており、小売業を取り巻く経営環境は厳しさを増している(コースター11月6日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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