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米商務省、CHIPSプラス法に基づくセミコンダクター・リサーチ・コーポレーションへの助成確定(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月9日 0時40分

米国商務省は1月3日、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づき、半導体産業向けデジタルツイン(注1)に主眼を置いた研究所の設立・運営のため、半導体研究コンソーシアムのセミコンダクター・リサーチ・コーポレーション(SRC)への2億8,500万ドルの助成が確定したと発表した。

商務省は2024年5月、同法に基づく半導体産業のデジタルツイン技術開発に最大約2億8,500万ドルの資金援助を発表し、2024年11月、SRCと助成についての協議に入ったことを発表していた(2024年5月7日2024年11月21日記事参照、注2)。SRCは1982年設立の世界的コンソーシアムで、産官学のパートナーと協力し、会員企業に代わって研究開発の内容を明確にするとともに、それらへの資金提供や監督を行っている。

新設される研究所は、SMART USA(Semiconductor Manufacturing and Advanced Research with Twins USA)という名称で、SRCが設立・運営主体となり、ノースカロライナ州ダーラムに本部を設置する。米国での半導体の設計、製造、先端パッケージング、組み立て、テスト工程改善のため、デジタルツインによる迅速な開発、検証、利用に取り組む。半導体製造に携わる全ての利害関係者を招集し、5年以内にチップ開発・製造コスト40%以上削減、開発サイクルタイム35%削減、半導体製造に伴う温室効果ガス(GHG)排出30%削減、11万人以上の労働者や学生を対象としたデジタルツイン教育などを目指す。

また、SMART USAは、米国の先端産業分野の産官学パートナーシップであるマニュファクチャリングUSA(注3)の既存ネットワークに、商務省がバイデン政権下で初めて立ち上げた研究所として加わる。同研究所へは、30州以上から150を超える産学とサプライチェーンを成す全ての供給網から団体・企業の参加が予定されているほか、10の国立研究所、5つのマニュファクチャリングUSA研究所などとの協業が予定されている(注4)。研究所に投じられる資金は、今回の助成金と参加企業・団体からの費用負担を合わせて10億ドル以上となり、2014年以降で最大規模のマニュファクチャリングUSA研究所が誕生することになるという(パデュー大学2024年11月19日)。

ジーナ・レモンド商務長官は「デジタルツイン技術は、半導体産業の技術進歩のフロンティアを生み出すため、製造事業者が研究者と協力する前例のない機会をもたらす」と述べた。また、トッド・ヤンキンSMART USA所長は「SMART USAへの助成決定は、協業がもたらす力、意欲的な研究開発の重要性、教育と規律ある創造力が生み出す永続的な影響を想起させるものだ。われわれが力を合わせれば、無限の可能性がある」と語った。

(注1)仮想空間に現実空間の双子(ツイン)となる環境を再現し、製品や設備などに関するさまざまなシミュレーションを行う技術。これにより、製品や設備などの生産の最適化や業務効率の向上、開発期間やコストの削減などが見込まれる。

(注2)この資金援助は、CHIPSプラス法の下での資金援助のうち、半導体産業の研究開発を行う企業・団体に対する110億ドルの資金援助の中の、米国半導体製造研究所の事業に該当する。

(注3)先進製造業で世界的リーダーシップを確保する目的で、2014年に設立された米国の産官学パートナーシップ。米国商務省、エネルギー省、国防総省と、3省が支援する技術革新研究機関(現在17機関)と6連邦政府機関で構成され、製造業のイノベーションを推進する政府全体の国家的取り組みを構築している。

(注4)SRCの発表によると、SMART USAの設立構想には、半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ、IBM、インテル、マイクロン・テクノロジー、テキサス・インスツルメンツ(TI)、ジョージア工科大学、パデュー大学、ニューヨーク州立大学などが協力した。

(横山華子)

(米国)

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