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欧州委のロシア産肥料への追加関税案、肥料と農業部門の反応割れる(EU、ロシア、ベラルーシ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年2月4日 13時45分

欧州委員会は1月28日、ロシアおよびベラルーシ産の農産物と窒素肥料に関し、一部産品の輸入関税を引き上げる規則案を発表した(プレスリリース)。同規則案は今後、欧州議会とEU理事会(閣僚理事会)で審議される。なお、EUを経由して第三国に輸出される産品に影響はない。

農産物については、EUは2024年7月から両国産の穀物、油糧種子、穀物製品の輸入関税を引き上げているが(2024年7月8日記事参照)、今回の規則案では、畜産物などより多くの産品を対象とし、50%の追加関税を課す。ただし、対象産品が農産物輸入全体に占める割合は低く(ロシアからの輸入では、2023年は全体の約15%)、影響は限定的とみられる。

一方、EUは窒素肥料を輸入に依存しており、ロシアは対象肥料の輸入全体の25%以上(2023年)を占める主要供給国となっている。また、EU域内の事業者は天然ガス価格の高騰で大きな打撃を受け、肥料の供給不足や価格高騰が生じている(2022年11月16日記事参照)。肥料は農業生産に必要不可欠で、ロシアがEUの制裁を報復措置の対象とする懸念がある。食料安全保障の観点から同国への依存度を低減し、域内生産の拡大や供給元の多角化を促し、供給量と価格の安定を目指すとした。追加関税額は製品カテゴリー別に定め、2025年7月1日から1年間は1トン当たり40または45ユーロとし、1年ごとに引き上げるとした。

欧州肥料工業会(ファーティライザー・ヨーロッパ)は1月29日、両国からの安価な製品の流入による市場歪曲(わいきょく)の是正につながると、規則案を歓迎した(プレスリリース)。そのうえで、欧州議会とEU理事会に対し、関税水準を最低30%に引き上げることや、措置の実効性を維持するために追加関税の税額を6カ月ごとに見直すことを検討するよう要請した。

対照的に、欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体のCOPA-COGECAは同日、同措置は肥料価格の上昇につながると、欧州委を非難した。関税引き上げで域内製品の価格競争力が高まる保証はなく、また炭素国境調整メカニズム(CBAM)の本格適用開始により、域外生産者もコスト増の影響を受ける可能性を指摘し、農業部門に与える影響は大きいと主張した。欧州委案は中長期的な視点が欠けており、供給元の多角化には一部製品の関税停止なども必要、と提言した。

(滝澤祥子)

(EU、ロシア、ベラルーシ)

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