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トランプ米大統領、人工妊娠中絶反対派のデモに参加(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年2月3日 0時15分

米国のドナルド・トランプ大統領は1月24日、首都ワシントンで行われた人工妊娠中絶反対派のデモ行進「マーチ・フォー・ライフ」に、演説の録画ビデオを提供するかたちで参加した。トランプ氏は演説で中絶反対派を支援することを誓い、「この行進は、52年前の悲惨な(人工妊娠中絶の権利を認めた)『ロー対ウェイド判決』の1周年から始まった」「(判例が破棄され)その歴史的な過ちは3年前に正された(2022年6月27日記事参照)。私はその一員であることをとても誇りに思う」と述べた。「マーチ・フォー・ライフ」に参加した米国大統領はトランプ氏が初で、2020年にも演説を行った。

トランプ氏は1月20日の就任以降、このほかにも、既にさまざまなかたちで人工妊娠中絶反対派の支援をしている。23日には、2020年にワシントン州の人工妊娠中絶提供クリニックに侵入して封鎖するなどして、バイデン前政権下で有罪判決となった人工妊娠中絶反対派の抗議者24人の恩赦を発表した。

また、トランプ氏は23日、「出生時中絶生存者保護法案」に関する声明文を発表し、現行の法律では、中絶を試みて生き残った新生児に対する医療ケアなどの適正な保護が提供されていないとし、未熟児や障害の有無にかかわらず、尊厳の価値を認める「出生時中絶生存者保護法案」を支持すると表明した。この声明文でトランプ氏は「新生児に対して法の下で正当な保護を保証することは米国の方針」と述べた。同法案では、(1)医療従事者に対し、中絶を試みて生き残った新生児を入院させ、違反した場合には直ちに報告することを義務付ける、(2)このような新生児の母親を中絶の第2の犠牲者として扱うとの考え方の下、中絶医に対する母親の民事上の訴権を確立する、(3)母親が人工妊娠中絶した場合に科される刑事訴追や罰則からの保護することなどを盛り込んでいる。

しかし、同法案に対しては反対意見も根強い。北米最大規模の労働組合の米国労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)など、全米240以上の組織からなる人工妊娠中絶是認派の連合体、リーダーシップ・コンフェレンス・オン・シビル・アンド・ヒューマン・ライツは1月21日、連邦下院議員らへの公開状で、同法案が下院に提出された際には反対するよう強く要請することを求めた。

こうした反対意見もあり、法案成立のめどはたっていない。同法案は、米連邦議会下院では23日に賛成220票、反対210票で可決されたものの、上院では22日、賛成52票、反対47票で、法案通過に必要な60票に届かずに否決されている(議会専門紙「ザ・ヒル」1月22日)。同様の趣旨の法案は2019年、2023年にも提起されているが、この時も廃案となっている。

(吉田奈津絵)

(米国)

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