第3四半期GDP成長率、前期比プラス成長に転換(アルゼンチン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月25日 0時55分
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は12月16日、2024年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した。前年同期比ではマイナス2.1%だったが、季節調整済み前期比で3.9%のプラス成長だった。前年同期比は6四半期連続でマイナス成長だが、前期比は2023年第3四半期(7~9月)以来のプラス成長に転じた(添付資料図参照)。
ハビエル・ミレイ大統領は12月10日に行った国民向け演説で、足元では経済が成長サイクルに入り始めたと述べており、景気が下げ止まった可能性がある(2024年12月19日記事参照)。
第3四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、総固定資本形成が前年同期比16.8%減と大きく落ち込む一方、輸出が20.1%増と好調だった(添付資料表参照)。増減寄与度をみると、民間消費と総固定資本形成がそれぞれ2.1ポイント減、3.8ポイント減と、GDP成長率全体を押し下げた一方で、輸出は4.1ポイント増、輸入は3.3ポイント増で、輸出の増加に加えて輸入の減少がGDPの押し上げ要因となった。
経済活動分野別にみると、前年同期比でプラスだったのは、「農業・牧畜・狩猟・林業」「鉱業・採石」「電気・ガス・水道」「ホテル・レストラン」「教育」「家庭向けサービス」の6分野だった。マイナスだったのは、「漁業」「製造業」「建設業」「商業・修理業」「輸送・倉庫・通信」「金融仲介サービス」「不動産・企業向けサービス」「行政・防衛・公的国際機関」「社会衛生サービス」「その他社会・個人・共同体向けサービス」の10分野だった(添付資料表参照)。
アルゼンチン中央銀行がエコノミストらを対象に毎月実施しているマクロ経済指標の予測値に関するアンケート調査「REM」の最新結果(2024年11月)によると、実質GDP成長率の予測値の中央値は、2024年第4四半期(10~12月)が前期比0.6%増、2024年は前年比3.0%減だが、2025年に向けては前年比4.2%増とされており、経済の成長サイクルが軌道に乗る予測となっている。
ミレイ政権は公共工事を大幅に削減するなど、「財政赤字ゼロ」の財政政策を堅持している。同時に、消費拡大や国債への投資拡大、税収増を目的に、国民のタンス預金を表に出すための未申告資産の正規化制度を2024年8月から2025年5月までの期間限定で導入している(2024年10月11日記事参照)。徴税・税関管理庁(ARCA)によると、11月8日までに約200億ドルの申告があり、これも経済活動の活性化に一役買うとみられる。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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