スリランカ、オンライン安全法案を可決(スリランカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月14日 0時50分
スリランカ議会は1月24日、オンライン・コンテンツを規制する法案、「オンライン安全法2024年第9号」(Online Safety Act, No.9 of 2024: OSA、注)を108対62の賛成多数で可決したと発表した。同法案の目的について政府は、児童虐待、データ窃盗、オンライン詐欺などのサイバー犯罪と闘うこと、と説明した。
同規制法案では、5人の委員で構成されるオンライン安全委員会(Online Safety Committee)が違法とみなすコンテンツの制作者は、懲役刑に処される。また、グーグル、フェイスブック、X(エックス)などの企業は、そのプラットフォームに投稿されたコンテンツについて責任を負うことになる。
これに対して、アップル、アマゾン、グーグル、ヤフーをメンバーとするアジア・インターネット連合(AIC)は、同法案がスリランカのIT産業への投資に影響を与える可能性があると警告し、法案の大幅な修正を求めた。
また、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は「同法律はほぼすべての合法的な表現を犯罪化する可能性がある」と述べた。加えて、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も、オンライン安全委員会のメンバーが「オンライン上の言論が『虚偽』または『有害』であるかを決定し、コンテンツを削除し、インターネットへのアクセスを制限・禁止し、個人や組織を起訴する恣意(しい)的な権限」を持つことになると警告している。このように各方面から、政府が2024年内に実施が予定されている議会選挙および大統領選挙を前に、反対意見を取り締まり、言論の自由を抑圧しようとしているとの批判が噴出している。
なお、スリランカ議会は2月6日、オンライン安全法案をめぐる一連の報道および法案可決に関する疑惑に対し、法案を可決する際に踏まれる正当な手続きおよびその制定過程について、国民に向け説明を行った。
(注)オンライン安全委員会が、何が「禁止された発言」に当たるかを決定し、インターネット・サービス・プロバイダーに対し、コンテンツ削除の勧告、違反者とみなされた者のアクセスの無効化などを要請できる内容。
(寺島かほる)
(スリランカ)
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