日ASEAN経済共創フォーラム2024が開催、次世代自動車やAI、GXで協力深化へ(日本、ASEAN、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 11時25分
日ASEAN経済産業協力委員会(AMEICC)は12月20日、「日ASEAN経済共創フォーラム2024」を東京都内で開催した(注1)。同フォーラムは日ASEAN友好協力50周年を迎えた2023年に続く2度目の開催で、日ASEAN関係に関する基調講演が行われたほか、ASEANの政府関係者や幅広い分野の専門家らが「次世代自動車」「人工知能(AI)」「グリーントランスフォーメーション(GX)」などについて議論した(注2)。
オープニングセッションでは、登壇者らが日ASEAN連携の重要性を確認した。タイのピチャイ・ナリプタパン商務相は、日本企業によるタイへの継続した投資に感謝の意を表し、今後、バッテリー式電気自動車(BEV)やハイブリッド自動車(HEV)などの次世代自動車、半導体、プリント基板(PCB)、AI、データセンターなどの分野で投資を呼びかけた。ベトナムのグエン・ホン・ジエン商工相は、高付加価値で環境に配慮した製品の製造投資や人材交流の促進、またGXとエネルギー安全保障の両立が大事だと述べ、ASEAN各国と日本の協業の深化に期待を示した。
日本商工会議所の小林健会頭は、日ASEANの官民による緊密な連携が大事だとし、AIや自動車産業のイノベーションロードマップを策定して具体的な成功事例を生み、日ASEANで共に発展していきたいと述べた。武藤容治経済産業相(小宮山康二大臣官房審議官による代読)は、GXの推進、強固なサプライチェーンの構築、AIの推進で連携したいとした。中でもGXに関しては、2024年10月に策定したアジアゼロエミッション共同体(AZEC)のアクションプラン(2024年11月5日記事参照)にもとづき、ルール形成も含めて脱炭素化を推進する意向。
基調講演では、ERIAの渡辺哲也事務総長から、カオ・キム・ホンASEAN事務総長、浦田秀次郎 経済産業研究所(RIETI)名誉顧問・特別上席研究員(特任)に、ASEANのポジション・役割や域内の課題など問いかけた。カオ事務総長は、ASEANが世界で見ても平和で、安定した地域という自信・確信を持っている点を挙げた。経済面では、自由貿易協定(FTA)のアップグレードや新たな国・地域との交渉を進めており、特にカナダとのFTAは締結すれば北米で初となると述べ、その意義を強調した。また、湾岸協力会議(GCC)とのFTAも模索しており、世界各地で地政学的緊張が高まる中で信頼をもって域外との関係を深化したいと述べた。浦田氏は、この自信・確信がASEANの強みだとした。他方、ASEANの重要課題として(1)強靭(きょうじん)なサプライチェーン構築、成長のための地域統合のさらなる推進、(2)オープンでルールベースの貿易制度のアジア太平洋・世界での構築を挙げた。貿易・投資においてASEANの中心性(Centrality)を発揮するとともに、これまでどおりASEANとして戦略的な自立性を維持し、大国に取り込まれないレジリエントな外交を進めていくことが重要だと述べた。
基調講演の様子(ジェトロ撮影)
(注1)同フォーラムは、経済産業省、日本商工会議所、日本経済団体連合会、経済同友会、ジェトロ、ASEAN事務局、ASEAN・日本経済協議会日本委員会(AJBC)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)、日本アセアンセンター、経済産業研究所(RIETI)との共催。
(注2)AIセッションの議論については2024年12月26日記事参照。
(山口あづ希)
(日本、ASEAN、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー)
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