米自動運転スタートアップのニューロ、半導体設計の英アームと業務提携を発表(米国、英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月4日 0時30分
米国の自動運転デリバリー車開発のスタートアップであるニューロ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)は2月22日、人工知能(AI)を組み込んだ自動運転車両の商用化に向けた拡張可能な取り組みを半導体設計大手のアーム(本社:英国ケンブリッジ)と共同で行う複数年の提携を発表した。同社はレベル4(注)の自動運転技術で提携し、アームの最先端の自動車向け半導体技術を活用してニューロの自動運転技術を拡張していくという。アームの最先端技術により、サーバーのハードウエアを使ったプロトタイプの自動運転システムから、車載用の安全を確保したソリューションへの進化を可能にするとのこと。
ニューロは、元グーグルのエンジニアで、現在のウェイモにつながる自動運転プログラムの創設チームのメンバーだったジアジュン・ズー氏とデイブ・ファーガソン氏により2016年に設立された。物の輸送に特化した自動運転車を開発している(2021年11月5日記事参照)。その後も、ウーバーやセブン‐イレブンと提携し、サンフランシスコ・ベイエリアとテキサス州ヒューストンで展開している(2021年12月7日記事、2022年9月15日記事参照)。
自動運転技術の開発に欠かせない高性能半導体、SoC(システム・オン・チップ)の分野では、米国のエヌビディア、クアルコム、イスラエルのモービルアイなどの大手が先行しているが、スタートアップの他社も開発を進めている。
例として、自動運転技術スタートアップであるリコグニ(本社:カリフォルニア州サンノゼ)が2024年2月20日、シリーズCで、1億200万ドルを獲得した。同社は自動運転と生成AIのためのAI推定用のチップのデザインを開発していくことで、大きな投資を得ることができた(ブルームバーグ2月20日)。同社の最高経営責任者(CEO)であるマーク・ボリソ氏は「AI推定に必要とされる計算能力、拡張性、正確性、そして省電力は早急に解決されなければならない課題だ」とし、自動車や航空宇宙産業を変えていく意気込みを述べた。
(注)自動車技術者協会(SAE)が定義する自動運転のレベル。レベル4では、限定された領域内で加速・操舵(そうだ)・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態での走行が可能(2021年2月16日記事参照)。
(松井美樹)
(米国、英国)
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