すし産業の成長続く、幅広い所得層に浸透(チリ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月17日 0時30分
チリの大手経済新聞社「ディアリオ・フィナンシエロ」が運営するラジオおよびポッドキャストチャンネルにて12月4日、チリにおけるすし産業の成長についてのXブレーン(Xbrein)による調査結果が発表された。
調査によると、チリのすしレストラン(注)の店舗数は、2018年の3,022軒から、2024年には5,183軒となり、6年で約70%増加した。この成長の背景として、すしが低所得層から高所得層まで幅広い消費者に受け入れられていることが挙げられている。すしはファストフードから高級レストランに至るまでさまざまな店舗形態で提供され、広い価格帯で展開されていることが特長だ。さらに、すしはデリバリーでも頼まれることが多いが、新型コロナ禍でフードデリバリーサービスがより浸透したことも追い風となっている。
なお、チリのすしの主流は巻きずしで、サーモンやエビをはじめとした魚介類、クリームチーズ、アボカドなどの具材が用いられることが多い。
チリの4大すしチェーンは、「Niu Sushi(ニウ・スシ)」「Kami Sushi(カミ・スシ)」「Sushi Blues(スシ・ブルース)」「Sakura(サクラ)」で、総店舗面積が最大なのはニウ・スシ(6,350平方メートル)、店舗数が最多なのはカミ・スシ(62軒)だという。ニウ・スシがフルサービス型の店舗を構え、デリバリーにも対応している形態である一方、カミ・スシはデリバリーに注力し、低~高所得層の居住エリアに小規模な店舗を展開している。どちらの会社も海外に進出しており、前者はメキシコに3店舗を構え、後者はウルグアイに展開している。
これらチェーンが市場を独占しているわけではなく、4大チェーンの店舗数を合計しても業界全体のわずか2.8%に過ぎないという。個人経営を含め多様なすしレストランが経営されているのが実態だ。米国農務省(USDA)が、他の中南米諸国と比較して、チリのレストラン産業は新規参入の余地が大いにある(2023年10月31日記事参照)と指摘するように、すし産業についても今後さらなる拡大が期待される。
(注)寿司を主力商品として提供している専門店・レストラン・ファストフード店など。
(岡戸美澪)
(チリ)
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