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在欧日系企業の1~2年後の事業見通し、「現状維持」が「拡大」上回る、ジェトロ調査(欧州)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月25日 0時45分

ジェトロが12月19日に公表した「2024年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)」(注1、2024年12月19日記事参照)によると、今後1~2年間の事業展開の方向性について、在欧日系企業の48.9%が「現状維持」と回答し、前年調査比では3.5ポイント増となった。事業を「拡大」するとした企業は46.2%だった。新型コロナウイルス禍の回復基調にあった前年は「拡大」すると回答した企業が半数を超えていたが、今回は前年比で5.4ポイント減となり、「現状維持」を下回った。

国・地域別でみると、在EU企業で「拡大」と回答した企業は46.2%だったが、スペインとオーストリアでは7割以上の企業が「拡大」と回答した。拡大する理由として、スペインでは「現地市場ニーズの拡大」(66.7%)と「高付加価値製品・サービスの受容性が高い」(46.7%)、オーストリアでは「現地市場ニーズの拡大」(75%)、「輸出の増加」「競合他社と比べて優位性が高い」「人材面での優位性が高い」(それぞれ33.3%)が上位に挙がった。英国と中・東欧(注2)では、前年同様、「現状維持」が最も多く、それぞれ53.3%、54.5%だった。

今後1~2年間の事業を「拡大」するとした企業に、具体的に拡大する機能について聞いたところ(複数回答可)、欧州全体では「販売機能」(268社)、「高付加価値品の生産」(83社)、「新規事業開発」(74社)が上位となった。業種別にみると、製造業では「販売機能」(114社)に次いで、「高付加価値品の生産」(70社)とした企業が多く、「新規事業開発」(21社)は3位だった。非製造業では「販売機能」(154社)、「新規事業開発」(53社)、「カスタマーサービス」(44社)が上位だった。

拡大する機能について、国別に企業の回答割合をみると、「販売機能」はスウェーデン(100%)、イタリア(100%)、ポーランド(87.5%)で上位を占めた。「新規事業開発」は、欧州全体で前年から回答割合が減り、国別で前年1位のチェコが16.7%(前年調査比35.9ポイント減)、2位のフランスが20.0%(25.5ポイント減)、3位のスウェーデンが0%(同42.9ポイント減)となった。厳しいコスト環境が新規事業への投資に影響しているとみられる。

調査結果の詳細は、ジェトロ調査レポート「2024年度 海外進出日系企業実態調査欧州編」を参照。

(注1)海外進出日系企業実態調査(欧州編)は、8月27日~9月19日に実施し、西欧14カ国、中・東欧9カ国の日系企業1,324社を対象とした。うち772社から有効回答を得た(有効回答率58.3%)。西欧はドイツ、英国、オランダ、フランス、ベルギー、スペイン、フィンランド、オーストリア、アイルランド、イタリア、スイス、ポルトガル、スウェーデン、デンマークの14カ国、中・東欧はチェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロベニア、ブルガリア、スロバキア、モンテネグロの9カ国。

(注2)回答数が5社以上の国で比較。

(岩田薫)

(欧州)

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