3月の米ISM非製造業景況感指数は51.4、企業活動は堅調も雇用は軟調(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月4日 14時15分
米国サプライマネジメント協会(ISM)は4月3日、3月の非製造業景況感指数を発表した。非製造業景況感指数は51.4とブルームバーグによる市場予想(52.8)を下回ったほか、前月(52.6)に続いて2カ月連続の低下となったものの、基準値である50は引き続き上回った。成長したと回答したのは全18セクターのうち、宿泊・フードサービスや専門・科学・技術サービス、農林水産、教育サービス、建設など12セクターだった。減少したと回答したのは、4セクター(鉱業、運輸・倉庫、不動産・賃貸・リース、情報)のみだった。
項目別にみると、ビジネス活動指数(57.4)は前月(57.2)と比較してさらに拡大したものの、新規受注(54.4)が前月(56.1)から縮小したほか、雇用(48.5)と納入(45.4)が50を下回った。
ビジネス活動指数については、全18セクター中12セクターが改善したと回答し、低下したと回答したのは2セクター(鉱業、運輸・倉庫)のみだった。売り上げの伸びと来客数の増加に伴う労働時間の増加など、肯定的なコメントが寄せられた。新規受注に関しても、11セクターが改善したと回答し、悪化したと回答したのは2セクター(鉱業、行政)のみで、こちらもおおむね好調だった。雇用に関しては、改善したと回答したのが6セクター(宿泊・フードサービス、建設、行政、公益事業、ヘルスケア、教育サービス)に対して、悪化したと回答したのが5セクター(鉱業、金融・保険、小売り、運輸・倉庫業、情報)と拮抗(きっこう)している。人員削減と補充承認プロセスの遅さを指摘する声や、退職者のポジションが埋まっていないといった声が寄せられ、人件費の管理や人材のミスマッチなどの課題が生じているようだ。
なお、景況感指数の内数に含まれていないサブ項目では、仕入れ価格(53.4)が前月(58.6)よりも5.2ポイント低下し、2020年3月以来の低水準となった。この点について、キャピタル・エコノミクスの北米担当副チーフエコノミストのスティーブン・ブラウン氏は、住宅を除く基幹サービスのインフレが新型コロナウイルス感染拡大前の正常な水準へ低下することを示唆している、と述べている(ブルームバーグ4月3日)。この見解は、賃金の状況が反映されやすい部門でのサービス価格が緩やかに低下し始めている最近の動き(2024年4月4日記事参照)と整合的ではある。ただ、ISM非製造業調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長が、一定程度の物価安定の兆しが出ているが、インフレは依然として懸念と評価しているほか、調査回答者の中でもインフレ圧力の継続を報告しているセクターもあり、仕入れ価格の低下が本当にサービス価格の低下を意味するのかはいまだ予断を許さないだろう。
(加藤翔一)
(米国)
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