ケニアとUAEが包括的経済連携協定を締結(ケニア、アラブ首長国連邦)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年2月5日 0時45分
ケニアおよびアラブ首長国連邦(UAE)の両政府は1月14日、両国首脳の臨席の下、包括的経済連携協定(CEPA)に署名した。今後、両国において批准手続きに入る。
協定は、財・サービス貿易や原産地規則、税関手続き、衛生措置、投資、デジタル貿易、知的財産権や経済開発協力などで構成され、両国の貿易障壁の撤廃や、税関手続きの効率性・透明性の向上、貿易品目の多角化や産業化、地域バリューチェーン構築にかかる協力などが盛り込まれた。
ケニア政府によると、両国の2023年の貿易総額は4,450億シリング(約5,340億円、1シリング=約1.20円)で、UAEはケニアにとって輸出で6位、輸入で2位の重要な貿易相手国だ。ケニアの主な輸出品目は農畜産品で、2023年の食肉・肉製品の輸出額は99億シリングと、ケニアの食肉輸出の半分以上がUAE向けだった。そのほか、パイナップルやアボカド、マンゴーなどの果物類の輸出額が52億シリングで、CEPA締結によりケニアからUAEへの農畜産品の輸出拡大が期待されている。一方、UAEからケニアには、原油や機械類、化学品などが輸出されている。
両国はヒト・モノ・カネの結びつきを強化
ケニアでビジネスを展開する代表的なUAE企業では、マジド・アル・フッタイム・グループが、小売り大手カルフールのケニアにおけるフランチャイズ権を所有するなど手広くビジネスを展開している。アル・フッタイム・グループは2014年にケニアのCMCモーターズを買収し、ケニアで自動車や農機販売などの事業を展開してきたが、2025年1月に経営悪化によりケニア事業からの撤退を発表した。
情報通信技術(ICT)分野では、2024年3月にはUAEのG42が米国マイクロソフトと共同で、ケニアに地熱発電によるグリーン・データセンターを建設する計画を発表した。ドバイ~ナイロビ間を飛ぶエミレーツ航空に加えて、2024年12月からはエティハド航空がアブダビ~ナイロビ間を結ぶ直行便を就航させた。現地報道によると、ケニア政府は標準軌鉄道のウガンダ、南スーダンへの延伸について、UAEからの借款を交渉中とされる。ヒト・モノ・カネ、そしてデータのすべての面で両国は結びつきを強めている。
ケニア、UAEは他国とも経済連携強化を推進
ケニアは、EUや英国と既に経済連携協定(EPA)を締結している。米国とも戦略的貿易・投資パートナーシップについて交渉中だが、トランプ新政権を迎え、妥結が難しくなると見込まれている(2024年11月22日記事参照)。
なお、UAEは、アフリカ諸国で初めてとなるモーリシャスと2024年7月にCEPAを締結しており、ケニアはUAEにとってアフリカで2番目のCEPA締結国となる。このほか、エミレーツ・ニューズ・エージェンシー(WAM)によれば、コンゴ共和国とも2023年末に交渉を妥結、2024年9月にはコンゴ民主共和国のフェリックス・チセケディ大統領がUAEを訪問し、2国間関係強化について合意したとされている。UAEはモロッコとの交渉も妥結したほか、世界各国とCEPA締結の拡大を進める(2025年2月4日記事参照)。
(佐藤丈治)
(ケニア、アラブ首長国連邦)
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