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テマセクの食・環境技術公募、昆虫食と航空燃料開発ベンチャーが優勝(シンガポール、ベトナム、オランダ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月30日 0時10分

シンガポールの非営利団体であるテマセク基金が主催する環境関連の技術公募「ザ・リバビリティー・チャレンジ2024」の最終ピッチコンテストが417日に開催された。食・栄養部門では、コオロギ由来の昆虫食を開発するベトナムのスタートアップ、クリケット・ワン(Cricket Oneが優勝した。また、気候変動部門では、持続可能な航空燃料(SAF)を開発するオランダのガフト(GAFTが優勝した。両社は優勝賞金としてそれぞれ、100万シンガポール・ドル(約11,400万円、Sドル、1Sドル=約114円)を獲得した。

写真 ザ・リバビリティー・チャレンジの食・栄養部門で優勝のベトナムのクリケット・ワンのビッキー・グエン共同創業者兼事業開発担当ディレクター(中央、ジェトロ撮影)

ザ・リバビリティー・チャレンジの食・栄養部門で優勝のベトナムのクリケット・ワンのビッキー・グエン共同創業者兼事業開発担当ディレクター(中央、ジェトロ撮影)

2024年の公募には、100カ国・地域以上から過去最多の1,000件もの応募が寄せられ、最終選考に選ばれた国内外の7社が4月17日のピッチコンテストに出場した(2024年3月26日記事参照)。食・栄養部門で優勝したクリケット・ワンは、ヒト向けの食用コオロギを生産し、欧州や北米、日本などに輸出している(2020年10月9日記事参照)。同社によると、コオロギの生産は、牛の飼育と比較してカーボンフットプリント(注)が約100分の1と、環境への負荷を低減できるという。シンガポールは現在、食用としての昆虫や、動物飼料としての昆虫の輸入、販売が認められていない(2023年3月3日付地域・分析レポート参照)。シンガポール食品庁(SFA)は2024年1月29日、同年上半期中に昆虫食に関する規制の枠組みを導入する方針を示した。

また、気候変動の部門で優勝したガフトは、廃食用油などではなく、二酸化炭素(CO2)を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)の開発に取り組むオランダ発のスタートアップだ。テマセク基金のリム・ホック・チュアン最高経営責任者(CEO)は同日、ガフトが開発する新たなSAFについて、「世界的なSAFの原料不足という課題を解決するものだ」と評価した。シンガポール政府は2024年2月、チャンギ空港を発着する全ての国際便に対して、航空燃料の1%をSAFにすることを2026年から義務付ける方針を発表していた(2024年2月27日記事参照)。

このほか同日には、風力を用いて船舶燃料消費を抑える技術を持つスペインのバウンドフォーブルー(bound4blue)に対してベンチャーキャピタル3社から、合計30万Sドルの資金が提供された。また、廃棄処分となる航空機からリサイクル可能な素材を回収するシンガポールのナンディナREM(Nandina REM)が、シンガポール企業庁(エンタープライズシンガポール)から10万Sドルの資金を獲得した。

(注)商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を、CO2(二酸化炭素)として換算し、わかりやすく商品やサービスに表示する仕組み。

(本田智津絵)

(シンガポール、ベトナム、オランダ)

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