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在欧日系企業の人権DDと脱炭素への取り組み状況に頭打ち感(欧州)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 0時55分

欧州に進出している日系企業による人権デューディリジェンス(DD)や脱炭素といったESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みに、頭打ち感がみられる。ジェトロが12月19日に発表した「2024年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編、注)」(2024年12月19日記事参照)では、人権DD実施企業は全体の37.2%で、前年調査結果(38.0%)からやや減少に転じた。「人権DDを実施している、もしくは検討や情報収集を行っている」理由としては、70.3%が「本社やグループ全体の方針・指示」、46.5%が「欧州の法令遵守」と回答している。実施している企業の「人権DDの実施範囲」は、「自社・グループ会社」の回答が今回初めて全体で90%を超えた。人権DDの具体的な取り組み内容としては、「人権方針の策定・公表」が86.1%で、前年調査から5.8ポイントの伸びを見せた。

一方、「人権DD実施の予定はなく、情報収集もしていない」と回答した企業は23.1%と、前年比で0.1ポイント増となり、国別ではドイツが25.4%で、前年比1.5ポイント増だった。「人権DDを実施していない理由」として最多の「人手不足・情報不足」(38.0%)や、自由記述で挙げられた「手間や時間など負担の多さ」「どう対応してよいかわからない」などが背景にあるとみられ、人権DD疲れも見え隠れしている。

脱炭素化への取り組み状況に関しては、「既に取り組んでいる」企業の割合が59.7%と、前年調査(61.7%)から2.0ポイント減少し、こちらも頭打ちの兆候を示した。微増した非製造業を除き、製造業、大企業、中小企業と取り組み割合は軒並み下降した。一方、「取り組む予定はない」という回答が16.0%(前年12.6%)と3.4ポイント増加。非製造業、中小企業でも取り組み予定のない企業が前年より増加した。取り組みを阻む要因としては、「コスト増」だけではなく「顧客や市場からの価格転嫁の受け入れの不透明さ」が多く聞かれ、脱炭素推進と経済合理性の両立の難しさもうかがえる。欧州内で規制や制度運用が統合されていないことも大きな課題との声があった。

欧州全体でバッテリー・蓄電関連事業に高い関心

脱炭素関連事業のうち、ビジネスチャンスとして最も関心を集めたのは「バッテリー・蓄電」(44.9%)で、「モビリティ・関連インフラ」(40.7%)が続いた。「太陽光・熱発電」と「ヒートポンプ・地熱発電」は、西欧に比べて中・東欧で大きな関心を集め、同地域でそれぞれ44.2%、40.0%となった。特に「太陽光・熱発電」はハンガリーで46.2%、「ヒートポンプ・地熱発電」はチェコで50.9%と高い割合を占めた。

(注)調査は8月27日~9月19日に実施し、西欧14カ国、中・東欧9カ国の日系企業1,324社が対象。うち772社から有効回答を得た(有効回答率58.3%)。西欧はドイツ、英国、オランダ、フランス、ベルギー、スペイン、フィンランド、オーストリア、アイルランド、イタリア、スイス、ポルトガル、スウェーデン、デンマークの14カ国、中・東欧はチェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、セルビア、スロベニア、ブルガリア、スロバキア、モンテネグロの9カ国。

(冨岡亜矢子)

(欧州)

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