中南米進出日系企業実態調査、現地市場の需要増で業績改善(中南米、アルゼンチン、コロンビア、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、メキシコ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月17日 15時50分
ジェトロは12月17日、「2024年度 海外進出日系企業実態調査(中南米編)」結果を発表した(注1)。
2024年の営業利益見込みは、中南米全体で71.0%が黒字と回答した。特にブラジルでは77.9%が黒字と回答し、過去最高(注2)の結果だった。営業利益見込みのDI値(注3)は、ブラジルが最大で39.6ポイントとなり、次いでペルー、コロンビア(28.6ポイント)、メキシコ(28.3ポイント)の順となった。要因としては現地市場での需要増加が大きく、特にブラジルとメキシコにおいては営業利益見込み改善の理由で約7割を占めた。アルゼンチンについては、2024年のDI値はマイナス5.7ポイントという結果だったが、2025年は42.8ポイント増の37.1ポイントに好転。現政権の輸入規制解除や投資奨励制度への期待がみられた。
今後1~2年の事業展開の方向性としては、中南米全体では52.1%が拡大を見込むと回答した。前年調査に引き続き、旺盛な事業拡大意欲が継続している結果となった。全ての国で現地市場ニーズの拡大が最大の理由だ。そのほか、メキシコにおいてはニアショアリング(生産拠点を消費地の近隣国に移転すること)の影響、アルゼンチンにおいては規制緩和など現政権への期待を理由とするコメントがあった。一方で、国内外の政治情勢やインフレの動向への懸念から、43.4%が現状維持と回答した。
競合環境の変化としては、新型コロナ禍以前の2019年と比較した際、中南米全体では47.0%が競合が増加したと回答。その競合相手として、中国企業を選択した割合が中南米全体では6割に達し、全ての国で最も多かった。最大の競争相手としては地場や欧米、日本企業が優勢な国が多いが、中国企業もそれらに次ぐ存在になりつつある。中国企業の価格攻勢には苦慮する日本企業も多いが、対抗策としては営業・広報の強化や製品・サービスの多角化が主となっている。
投資環境面のメリットとしては、全ての国で市場規模・成長性を挙げる企業が最も多く、特にブラジルでは80.2%が同項目を選択。デメリットとしては、政治・社会情勢が全ての国において最多を占めた。将来へ向けたコメントとして、メキシコでは米国の新政権や米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の動向に対する懸念も多数あった。
(注1)2024年8月20日~9月27日にかけて、中南米(メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、チリ、ペルー、コロンビア、ベネズエラ)に進出する日系企業(日本側出資比率が10%以上の現地法人、日本企業の支店)723社を対象に実施(有効回答率52.1%)。
(注2)比較可能な2008年以降を指す。
(注3)営業利益見込みが前年比で「改善」する企業の割合(%)から「悪化」する企業の割合(%)を差し引いた値。
(佐藤輝美)
(中南米、アルゼンチン、コロンビア、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、メキシコ)
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