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欧州委、単一市場と競争力に関する年次報告書を発表(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月1日 1時0分

欧州委員会は2月14日、「単一市場と競争力に関する年次報告書」を発表した。欧州委は2023年3月に発表した2030年以降を見据えた競争力強化に関する政策文書で、9要素(単一市場の機能、民間資本へのアクセス、公共投資とインフラ、研究とイノベーション、エネルギー、循環性、デジタル化、教育と技能、貿易と開かれた戦略的自律)を特定。報告書はこれらに基づき、欧州単一市場の競争力の特徴と課題を分析しており、今後の政策協議のための基礎となる。

報告書によると、EUは単一市場だけでなく、優秀な技術者や研究者、質の高いインフラ、強固な製造基盤、強力なサービス部門、クリーン技術、高性能コンピュータ、量子工学、量子技術などの開発で競争力がある。一方で、気候変動や地政学的変化、技術革新の速度、エネルギー価格の高騰、人口動態、労働力と技能者の不足、戦略的依存、不公正な国際競争などの課題に直面している。

また、EUの単一市場は世界最大級の統合市場で、4億4,000万人強の域内需要、多様な供給源、技術革新と生産能力、社会的権利、公正な労働条件などがEU経済を活性化させている一方、合意事項の確実な実行と、実行プロセスの簡素化の必要性を指摘した。

さらに、EUは、安定したマクロ経済の枠組みと質の高いインフラがビジネス環境を支え、魅力的な投資先だとした。域内公共投資はEU復興レジリエンス・ファシリティー(RRF)(2023年2月24日記事参照)にも支えられ、金融危機後の低水準から回復。民間投資も高水準を維持している。リスク資金やベンチャーキャピタル(VC)による資金調達の利用可能性を高め、革新的な企業を拡大させるために、資本市場同盟をさらに強化する必要があると指摘。このほか、グリーンとデジタルへの移行を戦略的に支援する手段として公共調達を挙げた。

EUでは高いエネルギー価格が依然として課題となっているものの、ここ数年間で実施されたエネルギー政策の改正やクリーン技術関連製品の製造支援を評価した。また、貿易はEUの競争力の源で、公平な競争条件と経済安全保障の重要性を強調した。EUは世界輸出額の16%を占めており、サービス分野では4分の1、ハイテク製品分野では5分の1を占めている。

(大中登紀子)

(EU)

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