米国、対ベネズエラ制裁を復活、公正な大統領選実施を順守せずと判断(ベネズエラ、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月19日 13時55分
米国財務省外国資産管理局(OFAC)は4月17日、米国とベネズエラ間の石油・ガス部門の取引を認めていた一般ライセンス44を取り消す一般ライセンス44Aを発行し、同取引に対する制裁を復活させた。制裁緩和期間中の取引については、5月31日までに終了することを義務付けた。
今回の制裁復活に伴い、ベネズエラ国営石油公社(PDVSA)による輸出の可能性は断たれたものの、特定ライセンスを所持し、米国向け輸出の大部分を担うシェブロンなどの企業の活動には影響はない。ペドロ・テレチェア石油相兼PDVSA総裁は地元テレビのインタビューで、米国の今回の措置について「多国籍企業のベネズエラ事業を妨げるものではない。シェブロンのようにOFACに直接ライセンスを要求する選択肢もある。また、アジアや欧州、インドの企業もベネズエラに進出し、ライセンスを要求できる」と話し、石油産業への影響は限定的と主張した。シェブロンのほか、ハリバートンなどのサービス事業者によるベネズエラでの操業は引き続き可能で、エニ(イタリア)、レプソル(スペイン)に付与された特定ライセンスについても、制裁緩和の失効による影響はない。
もとより、制裁緩和の期限は4月18日と設定されており、米国側はその更新条件として、2024年後半に公正な大統領選挙を実施するというバルバドス合意の順守をベネズエラに求めていた。しかし、2023年10月に野党が行った予備選挙(2023年10月24日記事参照)で大統領候補に選出されていたマリア・コリーナ・マチャド氏(ベンテ・ベネズエラ党)の公職就任資格停止措置の撤回要求は最高裁で不適として退けられた(2024年2月8日記事参照)。さらに、マチャド氏が自らの代替候補者として指名したコリーナ・ジョリス氏については、次期大統領選の候補者登録作業が期限内に間に合わず、立候補が不可能となった。ジョリス氏側は、電子登録の途中で専用ウェブサイトへのアクセスがブロックされたと主張しているものの、この主張は選挙管理委員会(CNE)によって否定されている。これらの大統領選を巡ってのベネズエラ側の対応が公正な選挙実施に関する合意内容を逸脱したものと判断され、米国による制裁の復活に至っている。
(豊田哲也、マガリ・ヨネクラ)
(ベネズエラ、米国)
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