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3Dプリンターに歯科医療が抱く期待

JIJICO / 2014年9月4日 12時0分

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3Dプリンターに歯科医療が抱く期待

医療分野で活躍する3Dプリンター

2000年頃から、X線CTで得られた精密な画像データから3Dプリンターで骨などの臓器の立体模型を作るシステムが大きな病院を中心に普及し、術前のシュミレーションや患者への説明に活用されています。また、脳神経外科領域では、事故などの外傷により頭蓋骨の一部を失ったケースで、周囲の頭の骨とマッチするような形の人工の骨を3Dプリンターの技術を使って加工するなど、様々な応用がなされています。

歯科医療分野では、これまで、虫歯治療の際に口の中に装着される修復物や補綴物(いわゆる詰め物や被せ物)は、患者の歯型を採って石膏の模型を作製し、歯科技工士の手作業により製作されてきました。しかし今、この工程の大部分(カメラで歯型もしくは模型の計測→修復物の設計→加工)をコンピュータ制御で行う一連のシステム、歯科用CAD/CAM(キャドキャム)が普及してきています。

CAD/CAMの普及で、歯の詰め物がその日のうちに出来上がる

CAD/CAM は80年代の半ばにヨーロッパで開発された技術ですが、日本でも様々なシステムが開発され、現在に至ります。これまで最低でも一週間ほどはかかっていたセラミックの詰め物が、虫歯を削った後、少し待っていれば歯科医院内で出来上がって、その日のうちに装着できる、ということで最近は多くのテレビ番組でも特集されています。

まず、虫歯を削って詰め物、被せ物が装着しやすい形に整えます。計測用カメラで歯の削った部分の形を読み取り、それに合わせて補綴物の設計をPCの画面上で行います。その設計に従って、セラミックの塊をミリングマシーンという工作機器が約15分程度で削り出します。微調整や、つや出しは歯科医師や技工士が行って、セメントで装着して完了、という流れです。年々精度は向上してきていますが、完全なるオートマティックではなく、経験を積んだ技工士や歯科医師が設計や装着の段階で微調整し、多少の手を加えることでピタッと治まる補綴物が出来上がります。

CAD/CAM×3Dプリンターで、歯科医療が変わる

現在、CAD/CAMシステムを導入することは、患者の通院回数の減少、治療のスピードアップや効率化、補綴物の品質が均一になるといったメリットがありますが、システムの導入コストがかなりの高額なため、残念ながら低価格でサービスを提供できる状態にはありません。しかしながら、CAD/CAMがさらに普及すると価格の低下が期待されます。

また、CAD/CAMシステムの全てを歯科医院内に設置しなくても、患者の歯の形を読み取ったカメラのデータのみを外注の歯科技工所に送る方法や、大量に送られてきた歯型データを工場のような技工センターに集積し、3Dプリンターで大勢の患者の補綴物を同時に仕上げまで一気に行う方法なども検討されています。

そう遠くない近い将来には、歯医者の型取りが苦手な患者でも簡単に治せたり、たくさん虫歯があっても、2、3回の通院で治療完了するなんてことになるかもしれません。

(飯田 裕/歯科医)

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