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新たな危険ドラッグ?亜酸化窒素の危険性

JIJICO / 2015年12月1日 18時0分

新たな危険ドラッグ?亜酸化窒素の危険性

新たな危険ドラッグ?亜酸化窒素の危険性

違法に販売された亜酸化窒素が国内で押収される

先日、大阪で危険ドラッグを販売目的で隠し持っていたとして逮捕された男の関係先から、通常は医療の際に麻酔などに使われる「亜酸化窒素」が押収されたことが分かりました。違法に販売されている「亜酸化窒素」が国内で押収されたのは初めてで、警察は危険ドラッグに代わって乱用が広まっているとみて、取り締まりを強化する方針です。

この亜酸化窒素、実は「笑気ガス」とも呼ばれています。医療機関などで使われる濃度の場合、体がリラックスして不安がなくなる効果は得られますが、大笑いするほどの濃度ではありません。真の理由はガスの吸入によって顔の筋肉が緩むことで「笑っているように見える」ため、笑気ガスと名付けられたようです。

亜酸化窒素は副作用がほとんどないとされる

それでは、亜酸化窒素にはどんな効果があるのでしょうか。まずは強い鎮痛効果を有しており、その他に気分を楽にして恐怖・緊張を感じにくくする効果などがあります。実際に歯科医療機関で「笑気吸入鎮静法」と呼ばれる麻酔方法を採用しているところもあり、この方法で意識がなくなることも眠ることもなく、リラックスして医者と患者が意志の疎通をしながら治療を受けることができるとされています。

亜酸化窒素の利点は、副作用がほとんどないところと言われています。高濃度の亜酸化窒素を吸い込んだ場合は嘔気や強いフラつき、呼吸困難や最悪の場合死に至ることもありますが、医療機関で使われる亜酸化窒素ではこうした副作用はありません。亜酸化窒素を個人で使用したことによって死亡した例はありますが、原因のほとんどは吸い込むときの亜酸化窒素の濃度が高く、酸素濃度が低くなるために酸欠状態になるためと考えられています。

無許可販売業者からの購入は違法行為!

このように、医療の現場で適切な使い方をされている限りは安全な亜酸化窒素ですが、素人が無許可で医師の処方なしで使用すれば、非常に危険なものとなってしまいます。医療用では薄くしたガスを使いますが、これを吸引すると「ハイ」な状態になるため、さらに濃度を濃くして吸引してしまい、吐き気や呼吸困難に陥り、ついには命を落とすことにもなりかねません。

最近、危険ドラッグに対する規制の強化で入手が困難になってきた状況において、亜酸化窒素が危険ドラッグの代替え品として注目を浴びつつあるようです。間違った使い方によって生命の危険も起こしかねない危険ドラッグ類似の薬剤であるということを十分に認識し、無許可販売業者からの購入は違法行為であるという認識の上で、安易に薬剤を使用しないことが最も大切です。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)

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