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精神疾患とホルモンの関係 必要なホルモンの減少でうつ病になることも

JIJICO / 2016年9月7日 15時0分

精神疾患とホルモンの関係 必要なホルモンの減少でうつ病になることも

精神疾患とホルモンの関係 必要なホルモンの減少でうつ病になることも

精神疾患の認知は進んだが原因は十分に解明されていない

うつ病や不安障害などの精神疾患の罹患者数は、日本国内で300万人にも上ると言われており、一昔前に比べて広く認知されるようになりました。
平成27年12月からは「ストレスチェック制度」が施行され、常時50名以上の労働者を使用する企業には、定期的に労働者のストレス状況をチェックし評価・指導することで労働者のストレス要因を減少させ、ストレス不調者へのケアを行い精神疾患に罹患する労働者を未然に防ごうとする国の取り組みも始まっています。

このように広く知られるようになった精神疾患ですが、その種類は多岐にわたり、また症状には個人差も大きく、この精神疾患を正しく理解しておられる方はまだまだ少数であると思います、
そしてこの精神疾患の原因となると、専門家の間でも意見が分かれ十分に解明されていないのが現状です。

精神疾患の原因の一つとして「セロトニン」分泌量の不足が考えられる

精神疾患の原因は未だはっきりしない部分もあるのですが、うつ病などの「気分障害」は脳内伝達物質の一つである「セロトニン」の分泌量が不足することで起こるという「セロトニン仮説」が有力とされています。

「セロトニン」は幸せホルモンとも呼ばれ、人が強いストレスや痛みを感じた時に分泌される「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」などの暴走を抑える働きを持っており、心の安定に強く関わっています。

「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」はストレスを感じた時に分泌されるので「ストレスホルモン」と呼ばれますが、決して体に害をもたらす役割をするわけではありません。
これらが分泌されることで精神を高揚させストレスに対処する方法をいち早く考えたり、集中力を高めたりして自分を守るために分泌される生命の維持に必要なホルモンなのです。

しかし、この精神を高揚させ集中力を高めている状態は、我々の心にも体にも大きな負荷がかかっている状態です。
この状態が長く続けば様々な弊害が起こるでしょう。
そこでこの「ストレスホルモン」を抑制し心のバランスを取るために「セロトニン」が必要であり、これが不足することで「気分障害」などの精神疾患が発症すると考えられています。

セロトニン不足の最も大きな要因はストレスの慢性化

では「セロトニン」が不足する原因は何なのでしょう。
これには様々な要因が関係しています。
食生活の問題(セロトニンの材料となる栄養素の不足)・運動不足・肉体疲労・などが考えられますが、最も大きな要因は「ストレスの慢性化」なのです。

ストレスを抑制するホルモンがストレスによって減少するという、卵が先か鶏が先かのようなお話ですね。
一時的なストレスであれば「セロトニン」は「ストレスホルモン」を抑えバランスを取ってくれるのですが、この状態が慢性化するとセロトニン神経の活動が抑制されてしまいセロトニン不足の状態が起こるのです。

この「セロトニン不足」の状態を防ぐためには、バランスの取れた食生活を心がける・適度な運動を継続する・休息を取る・太陽光を浴びる・などが有効ですが、最も大切なことは、「ストレス」を溜め込まないことです。
生活の中でストレスを感じないということは不可能ですが、それを上手に解消する工夫をすることは出来ると思います。

お仕事をされている方は、実務や職場の人間関係でストレスを感じることも多いと思います。
主婦の方も家事に育児に悩みや不安を抱えておられる方もおられるでしょう。
抱え込まずに、身近な方に相談したり愚痴を聞いてもらったりするだけでも気持ちは楽になるものです。
そして休息を取る時には仕事や家事の心配事を忘れて気持ち良く休むこと。
簡単なようで難しいことですが、皆さんの心と体を健やかに保つためにとても大切なことです。

(西尾 浩良/心理カウンセラー)

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