勘違いされている糖尿病の実態 糖尿病を予防するには?
JIJICO / 2017年2月15日 11時0分
勘違いされている糖尿病の実態 糖尿病を予防するには?
日本における糖尿病の実態
日本では、約1000万人が糖尿病であると推定されています。
さらには約1000万人以上が糖尿病予備軍であると言われており、合わせると2000万人以上にもなります。
成人の10~11人に1人は糖尿病であり、4人に1人は予備軍ということになります。誰もが他人事とは言えなくなっています。
それでは、糖尿病といえば、何を連想しますか?
間食をやめられない、ついつい食べ過ぎる、運動をしない、などのだらしない生活習慣が原因の病気ね、なんて思っている人も多いのではないでしょうか。
なぜ糖尿病になるのか?
糖尿病を知るためには「血糖」を知る必要があります。
私たちの体を維持し動かしていくためには多くのエネルギーを必要とします。
糖尿病で問題となる「血糖」とは、血液中のブドウ糖のことであり、このブドウ糖が体内で非常に重要なエネルギー源なのです。
糖尿病は、この「血糖」が多くなってしまっている状態のことを言います。
通常は、食事によって体内に入ってきた栄養がブドウ糖として血液中に入ってくると、膵臓からインスリンというホルモンが出てきて、ブドウ糖はすみやかに体内に蓄えられていきます。
肥満や運動不足は、このインスリンのブドウ糖を体内に蓄える力を弱めてしまいます。だから血液中のブドウ糖が多くなり糖尿病になる、わけではありません。
ここで重要な要素が、膵臓からインスリンを出す力です。
どんなに太っても、全く運動をしなくても、インスリンを出す力が強い人は糖尿病にはなりません。
体質としてインスリンを出す力が弱い人が、血液のブドウ糖を体内に蓄えられなくなり、糖尿病になるのです。
例えば、免疫の異常などでインスリンというホルモンが出なくなる1型糖尿病は、生活習慣と全く関係ありません。
インスリンをうまく補充すれば、何かを制限されることはありません。
いわゆる生活習慣病である2型糖尿病が糖尿病の大多数を占めるわけですが、この2型糖尿病も、インスリンを出す力が弱いという体質の要素が強いということはあまり認識されていません。
食生活が急激に欧米化し、交通網の発達の恩恵に預かり運動しなくなった私たち日本人の平均的な暮らしをしている人々のうち、インスリンを出す力が弱いという体質を持っている人が糖尿病になっているのです。
残念ながら、私たちアジア人は欧米人と比べて、インスリンを出す力が弱いことが明らかになっています。
だから欧米人と同じような生活習慣になったこの50年で劇的に糖尿病人口が増えているのです。
糖尿病を予防するために
さて糖尿病は何故問題なのでしょうか。
実は、糖尿病の人は、糖尿病でない人と比べて、平均寿命が約10年短くなると言われています。
これは、血管がダメージを受けることで、様々な病気になりやすいからです。
残念ながら、体質を変化させるような治療薬は、まだ存在しません。
だから、食事に気を使ったり、積極的に身体を動かしたりする必要があるのです。
「雨だれが石を穿つ」ように、ほんの少しの意識で将来は変えられます。
身体に良いと思って、あるいは言い聞かせて、みかんを1日に5個、6個と食べていませんか。
果物には、ビタミンが豊富に含まれているなど、良い栄養素もたくさん含まれていますが、果糖と呼ばれる糖分が多量に含まれています。
青汁や野菜ジュースも、甘くて飲みやすいものは要注意です。
砂糖で味を調えています。
炭水化物の量をコントロールすることで、効率よく体重を減らすことが出来ることもわかってきています。
お米の量を1~2口分減らすだけでも変化は起こります。
食事内容が変えられない場合は、食事の順番を変えてみてはどうでしょうか。
野菜やおかずを先に食べて、お米やパンなどの主食を後回しにするだけでも、血糖を下げることができることも明らかになってきています。
糖尿病の外来をしていると糖尿病であることが周囲にわかると恥ずかしいという声をよく耳にします。
糖尿病に対する偏見が無くなれば、もっと多くの人が血糖に興味を持って健康に過ごしてもらえるのではないかと思います。
(松田 友和/医師)
この記事に関連するニュース
-
「16時間断食のデメリット」無理なく克服する方法 脂肪のほかに「燃やされてしまうもの」を補う
東洋経済オンライン / 2024年5月18日 15時0分
-
実は蕎麦が血糖値を爆上げする理由…健康的な体質を得るためにスーパーで刮目したい「栄養成分表」の項目
プレジデントオンライン / 2024年5月15日 15時15分
-
「ドカ食い」「偏食」は命を削るだけ…上皇陛下の執刀医・天野篤が警鐘を鳴らす「キケンな食べ方」
文春オンライン / 2024年5月15日 11時0分
-
春のだるさ、眠さを一発解消する「非常識な食習慣」 季節の変わり目の体調不良には意外な要因が
東洋経済オンライン / 2024年5月6日 8時30分
-
《鋼メンタルになる食事術》五月病も吹き飛ぶ、パンより米・30回噛む・就寝前はちみつのすごい効果
週刊女性PRIME / 2024年4月28日 11時0分
ランキング
-
1キー局決算で見えた「TVerによる驚きの配信収入」 50億円規模の事業が3割も4割も伸びている
東洋経済オンライン / 2024年5月20日 12時0分
-
2「家を借りられない」「老人ホームにも入れない」身寄りのない“孤独な高齢者”が増加する日本を待ち受ける残酷な未来とは
日刊SPA! / 2024年5月20日 8時52分
-
3クルマに加工された「謎のツブツブ模様」なぜ必要? どうして車種によって有無がある? 気になる「不思議な印」の役立ち方とは
くるまのニュース / 2024年5月20日 14時10分
-
4【青汁】血糖値、便秘、高血圧を改善… 夕食30分前に飲むと睡眠の質向上も
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月20日 9時26分
-
5白髪は禿げないのは本当? 目立たせないドライヤー活用法はあるのか?【プロに学ぶ「白髪染め」「白髪のぼかし」】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月20日 9時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください