他人ごとではないストーカー被害。どのようにすれば防げるか?
JIJICO / 2017年5月16日 13時0分
他人ごとではないストーカー被害。どのようにすれば防げるか?
縮まった距離と人を傷つけない嘘
新緑の季節が到来し、一雨毎に暖かさが増しています。
春の訪れと共に変化した環境にも慣れた頃でしょうか。
人には、別れと同じ数だけ新しい出会いがあります。
しかし、今日の出会いが必ずしも幸せなものとは限りません。
近年、SNSでの交流が盛んになっています。
その理由に、移動に数時間も必要な距離が隣に居るようにさえ思え、身近に感じられるようになった事が挙げられます。
また、見ず知らずの他人同士が手軽に会話を楽しめ、共感や対立などを通して様々な考え方を学ぶ場にもなっています。
距離が縮まったことにより「親近感」が湧き、見えない相手だから「本音」を吐露してしまう。
この親近感と本音が、人を「錯覚(思い込み)」させます。
また、人を傷つけない嘘(やさしさ)は「解釈(経験)」が違うからこそ錯覚を助長します。
そして、錯覚は「見えない相手」だけの特徴ではありません。
人の好意と憎しみは「両刃の剣」です。
相次ぐ「ストーカー事件」の背景には、自分には解らない相手の錯覚と解釈があります。
ストーカー行為に気づいた時は手遅れ
「やさしさ」は時に、最大の暴力になります。
人には、争いから命を守る為に備わった「力」があります。
表情や口調、仕草などから感情を読み取る能力です。
そして、争いを避けるための「知恵(言葉)」も備わっています。
この力と知恵を駆使すれば、争い(被害)は防げるものです。
しかし、人の感情は努力を上回ることがあり、防げなかった争いが事件になってしまいます。
つまり、自分の努力だけで事件を防ぐことは不可能なのです。
ストーカーの被害者は女性に限ったものではありません。
性別・年齢・容姿に関係なく、誰でも被害の危険性を秘めています。
何故なら、ストーカー行為というのはストーカー自身の決断であり、被害者が決めることは出来ないからです。
また、相手を犯罪者にしたくないという「やさしさ」が、感情を揺さぶり凶行に至る時間をつくっています。
つまり、早期の「気づき」と「第三者の介入」が唯一の解決方法なのです。
ストーカー行為は、決して加害者本人が気づけるものではありません。
そして、被害者が行為に気づいた時には当事者間で解決できる範囲を超えています。
早期の気づきと寛大な決断
ストーカー行為とは当事者間のトラブルであって、第三者が積極的に介入できるものではありません。
感情に左右されたトラブルは、当事者以外には解らないことが多すぎるからです。
また、被害者の訴えが「相談」であって「依頼」ではないことも被害を拡大させる要因の一つです。
被害を防ぐためには、相手がストーカーに豹変する前に気づくことが大切です。
この「気づき」は、予見ではなく違和感(知る筈のない事を知っているなど)で気づいて欲しいのです。
この時点で誰に話そうと、相手にはされないでしょう。
しかし、話すことで心に準備ができます。
そして、相手の過ぎた行為を迷惑と感じた時に、嫌われる勇気をもって忠告することです。
この際、第三者を交えて証拠とすることも大切です。
この勇気こそが、相手をストーカーにしない「寛大な決断」と言えます。
また、第三者の介入が遅くなってしまった場合や身の危険を感じた場合は、躊躇の無い判断(これも「寛大な決断」です)をすることが最も重要です。
相手に対する警告、身辺の保護など相談ではなく、依頼にすることです。
躊躇すれば、事態は悪化を続けます。
ストーカーは一時的にでも常軌を逸した人物です。
情けや躊躇といった「やさしさ」は通用しません。
そして、解決したならば「後悔」にせず「貴重な経験」として活かしてください。
「習うは一生」です。
似た悩みや苦しみをもつ人は沢山います。
次は自分が助ける側に立つ人になってください。
(神田 正範/防犯・防災コンサルタント)
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