子育て中でもキャリアを諦めない女性の働き方
JIJICO / 2017年12月29日 7時30分
子育て中でもキャリアを諦めない女性の働き方
法改正や共働きの増加により進む、女性の家庭と仕事の両立
「M字カーブ」という言葉があります。これは日本の女性の労働力率を象徴するワードです。学卒後に就職するものの、結婚・妊娠出産を機に離職し、子供に手がかからなくなってから再び働きだすといった、典型的な日本女性の働き方をグラフにすると、M字カーブを描くことから有名になりました。特徴として、ちょうど仕事が充実してくるはずの30歳から40歳代に、女性のキャリアが中断される形となります。
しかし、近年では法整備が進んできたこともあって、小さな子供がいても女性が仕事を続けられる環境が、以前よりは整ってきています。
例えば、今年10月からの育児・介護休業法の改正では、子供の保育所が決まらないなどの理由があれば育児休業が最大2年まで延長できるようになりましたし、事業主に対して小学生未満の子供を持つ労働者に対する育児目的休暇制度創設の努力義務などが盛り込まれました。
また、共働き世帯の増加により、仕事と家庭を両立する女性が増えたこともあって、子供をもつ女性への配慮が社会的に浸透してきたことも、女性の継続就労を後押ししている要因だと考えられます。
配慮の中でのキャリア停滞にジレンマを感じる女性
子育てをしながら働く女性にとって、時短勤務や残業の免除といった会社の配慮は大変ありがたいものです。ところが、単なる勤務時間や仕事量の調整だけにとどまらず、仕事内容がこれまでより責任の軽いものに変更されたり、重要なプロジェクトから外されたりといった、その女性のキャリア形成にマイナスとなってしまう働き方に転換されてしまうケースもあります。
配慮という名のもとに、キャリアが停滞してしまうジレンマを感じながら働くことに、焦燥感を感じる女性もいるのです。
一律の対応ではなく、それぞれの希望に合ったキャリア形成ができる働き方を
子育て中であっても責任のある仕事がしたい、キャリアアップをしたいと望む女性も多く存在します。中には、より良い職場を求めて子育て中であっても転職に踏み切る意欲溢れる人もいるそうです。もちろん反対に、子育てが一段落するまでは仕事をセーブしたいと望む女性もいます。
大切なことは、妊娠中だから育児中だからと一括りにして、すべての人に同じ対応をしないということです。それぞれに対して、どのような働き方をしたいか、どのようなキャリア形成を望むのかをしっかり聞き取って、それに沿う働き方ができるような職場環境づくりをしていかなければいけません。
会社側は、個々への細かな対応は煩雑でハードルが高いと考えがちですが、従業員のキャリアが充実するということは、会社の戦力が強化されるということです。働き方が多様化しており、一昔前のように従業員を画一的に管理するのがそぐわない現在にあっては、労使双方にとってウインウインの状態になるよう職場環境を整備していくことは重要なことなのです。
また働く側も、配慮してもらって当たり前といったスタンスを取るのではなく、自分のキャリアと職場の状況を考慮して、バランス感覚を持った働き方をすることが大切です。出産・育児というライフイベントはもちろんお互い様な部分もありますが、仕事は自分一人でできるものではなく、上司や同僚の協力があって成り立っているという意識を忘れてはいけないと思います。
これからますます高齢化が進むに従い、育児だけでなく介護でも休業や仕事をセーブせざるを得ない労働者が増えていくでしょう。育児・介護によって自身のキャリア形成を諦めなくともよい職場環境を整えていくことが求められています。
(大竹 光明/社会保険労務士)
この記事に関連するニュース
-
【企業必見】社員の満足度爆上げ!エンタメ型ベビーシッター福利厚生で企業が活性化する理由~「育業」を支える新しい働き方改革~
PR TIMES / 2025年1月4日 16時45分
-
離れて暮らす母の「認知症」が進行し、迷子で「警察」に迎えに行くことも! 会社の有休も使い切り今は「欠勤扱い」だけど、どうすればいい? 3万円以上の減収で介護との両立が難しいです…
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月28日 4時40分
-
企業の多様性推進の取り組みを評価する「D&I AWARD 2024」にて最高位の「ベストワークプレイス」認定を4年連続で取得
PR TIMES / 2024年12月19日 12時15分
-
企業の多様性推進の取り組みを評価する「D&I AWARD 2024」にて最高位の「ベストワークプレイス」認定を4年連続で取得
@Press / 2024年12月19日 10時50分
-
海外ではこんな制度はありえない…「主婦年金」の廃止見送りで"3号主婦"本人を待ち受ける残酷な未来
プレジデントオンライン / 2024年12月18日 7時15分
ランキング
-
1裏切られた気持ちでいっぱいです…月収25万円・65歳サラリーマン、毎年「ねんきん定期便」を必ずチェック、年金月19万円のはずが「初めての年金振込日」に知った衝撃事実に撃沈
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2025年1月15日 8時15分
-
2理想の体形や収入がいつまでも手に入らない理由 強い願いも「無意識」に打ち負かされてしまう
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時15分
-
3松屋が「本気のガチ中華」で投入した商品の"正体" 「中華一番」の作者も唸る「水煮牛肉」の実力
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時40分
-
4「馬上、枕上、厠上」がキャリア形成にも重要な理由 「1人になれる時間」は本来いくらでも存在する
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分
-
5悪質なデータ復旧事業者「レスキュー商法」の手口 多発する「納得できない作業結果と費用請求」
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 8時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください