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フジ『大奥』、男女逆転のNHKと違った「逆転」で閉幕。“最たる逆転”は亀梨和也演じる将軍が死後も妻に託した思い

女子SPA! / 2024年4月4日 15時46分

前半はなかなかしんどい描写も多かった。60年代から『大奥』をドラマ化してきたフジテレビが、令和では大奥をどう描くかと期待したら、ファッション業界の壮絶な女の戦いを描いてヒットした『ファーストクラス』(14年)の時代劇バージョンのような雰囲気で、ハラスメントにはうるさく、女性の連帯がトレンドの令和において、あえてのキャットファイトが展開されたのだ。

将軍の継承者たる男子を生むことが女性のゴールで、正室といってもそれができなければ、男子を産んだ側室の立場のほうが上になる。

女のプライドに懸けて、家治の寵愛を我が物にすべく自分磨きを頑張るならまだしも、子供ができないように薬を毒に取り替えたり、子供を暗殺しようとしたり……。倫子が家治の床に呼ばれる晴れ舞台の日、お風呂で身を清めようしたら、汚物を入れられていたというエグいエピソードまで。

長らく倫子に尽くしてきて唯一信頼できたお品が家治の子を身ごもる愛憎劇に至っては、よくここまでしんどい描写を書いたなあと思った。でもこういう通俗性はネット漫画ではよくあり愛読されているし、近年、敷居が高くなっている時代劇に新しい層を呼ぶうえでは最適解かもしれない。

◆凛とした小芝風花。亀梨和也、宮舘涼太ら男性陣にもナットクの見せ場が

そして、小芝風花は、どんなにしんどい目にあっても、最後まで清く正しく凛としていた。

倫子に女の子が生まれ、その子をとても大事にしている表情にもほっとした。

思うところあって真意をなかなか見せない家治を演じた亀梨和也は悲劇の将軍を見事に演じていたし、宮舘涼太はヒールの松平定信を演じきり、配信されているスピンオフでは主演をつとめるほどだ。

女性が主役のドラマながら、男性陣にもナットクの見せ場があった。とりわけ勝手に功労賞を差し上げたいのはこのふたり。田沼意次役の安田顕と、猿吉役の本多力が鮮烈である。

◆安田顕、転落する悲劇の悪役。夢に出そうな凄まじさ

安田顕は、第1話からやけに悪代官のように陰湿そうな田沼を熱演していたのだが、最終回も完全にかっさらった。

いろいろ策を講じて政治の中枢をなそうとした田沼だったが、結局、失墜、悪名ばかりが残ったが、やがて時代が変わると田沼政治が懐かしいと思われてしまう皮肉めいた役割で、キャラクターとしては深堀りがいのありそうなおもしろい役だ。

田沼は歴史的観点からしても、かつては賄賂(わいろ)政治を行った悪者のようにも思われていたが、家治を補佐して江戸の貨幣経済の礎を築いた点は高評価とされている。『大奥』では徹底的に策略家で、因果応報、転落する悲劇の悪役となった。燃え盛る大奥のなかで、自刃するときの顔が歌舞伎のにらみのような凄まじさで夢に出そうだった。

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