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朝ドラ『虎に翼』伊藤沙莉はヒロインらしくない?“不満顔”が人を惹きつけまくる理由

女子SPA! / 2024年4月11日 8時46分

寅子はただ不機嫌な訳ではありません。「自分の幸せが、結婚すること」とは思えずに、心躍るなにかを探し求めたい。けれど、それが何かはまだよく分からなくて、すっきりしない。伊藤は、寅子がお見合いに臨む際の背景にある「漠然とした不安や不満」を“リアル”な表情で伝えたのです。それがまたチャーミングで、人間らしくて、観る者を惹きつけます。

◆類いまれな「ヒロイン力」で朝ドラを生き抜く

そして、伊藤は何よりキャラクターを“嫌われさせない”天才。もちろん脚本の妙もありますが、下手すると「勝気」「生意気」「我が強い」と思われてもおかしくない役柄や台詞であっても、その人物ならではの魅力を映し出します。まだ1週目にも関わらず、すでに寅子のキャラクターに魅了されているのは、筆者だけではないはず。

印象的だったのが、第4話の兄・直道(上川周作)と寅子の親友・花江(森田望智)の結婚式で、父・直言(岡部たかし)に強引に歌わされたシーン。親友の幸せを願いながらも結婚への疑問を払拭できない寅子の複雑な心情を、迫力ある歌唱で表現しました。「なんで女だけニコニコ、こんなに周りの顔色を伺って生きなきゃいけないんだ?! なんでこんなに面倒なんだ?! なんでみんなスンッとしてるんだ?!」というナレーションと、伊藤の笑っているのに怒りも感じる表情が見事にマッチ。SNSでも話題になりました。

そして、涙を誘ったのは第5話。「頭のいい女が確実に幸せになるためには、頭の悪い振りをするしかない」と強く諭す母・はる(石田ゆり子)に、真摯に向き合って決意表明しようとする姿は秀逸でした。母親を傷つけたくない。母を尊敬している。けれど、心躍る場所で自分のよりよい生き方を模索したいという想いを諦められない。寅子のどうしようもない葛藤を表現していました。

◆世間の常識や当たり前に「はて?」と立ち向かう

巧みな語りで物語をけん引する尾野真千子のナレーションに、松山ケンイチ、仲野太賀、森田望智、石田ゆり子、小林薫らの魅力的なキャラクターたちも相まって、『虎に翼』の良作ぶりを感じさせられた第1週。寅子は何度も「はて?」と口にしました。毎週のタイトルでは、女性にまつわる諺(ことわざ)の最後にクエスチョンマークがつけられており、世間の常識や当たり前に「はて?」と、疑問を持ち、理解し、憤り、立ち向かおうとする姿が描かれることが想定されます。

劇中で寅子は、悲しそうに、悩ましそうに歩く女の子や女性とたびたびすれ違っていました。きっと彼女はそんな人たちに寄り添うような法律家へと成長することでしょう。視聴者が共感する等身大のヒロイン像を体現する伊藤が、寅子としてどう生き抜くのか。目が離せません。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201

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