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高橋一生の肉声はこの世の悲しみを隠さない。『岸辺露伴』との出会いで見せた真骨頂

女子SPA! / 2024年5月22日 15時44分

高橋は主人公の岸辺露伴のほかに二役を演じ、そのもうひとりが政次を想起させたのだ。露伴が関わった黒い絵の秘密を握る江戸時代に画家・山村仁左右衛門。究極の黒を目指したがために、悲劇に見舞われながらも仁左右衛門が全身全霊で自分の表現を追求し、滅びていく。そしてそれが強烈な力を持って人々を死に至らしめる――これぞ悲劇俳優・高橋一生の真骨頂。

当たり役とされる岸辺露伴には、悲劇性はあまりなく、孤高にして天才、絶対的な強さのある人物で、それはそれで魅力的ではある。露伴の持つ知性や毒を醸しながら、漫画のキャラ独特の様式性を体現できる俳優は高橋一生をおいていないだろう。

だがやっぱり、生きる悲しみを持った人物を演じる高橋一生を見たい。その希望を叶えてくれたのが『ルーヴルへ行く』だった。仁左右衛門パートだけ独立した物語で見たい気さえしたほどに。

夏の終わりに幕を閉じる『兎、波を走る』は、悲劇を作り物として消費するのではなく、心にしかと刻み込む作品である。そんなとき、高橋一生の少しくぐもった声がちょうどいい。

<文/木俣冬>

【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

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