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注目の27歳俳優の演技は“ウブでピュア”一辺倒? 弟キャラだけじゃない魅力も

女子SPA! / 2024年7月16日 8時45分

 それ以外の場面でも基本的に、陽太はどこか一点を見つめるように相手を眼差す。その瞬間の表情も決まってピュアな感じ。それ以上でも以下でもなく、特に表情に変化はない。

 表情の演技が一辺倒と言えなくもないのだが、でもそれが木戸大聖の魅力ではないかと思うのだ。変に感情豊かな演技で、表情に細工を施すくらいなら、たとえ無骨な印象を与えても余計なことはせずにいたほうが、よっぽど潔くはないか?

◆演技そのものについて考えること

 いやもちろん俳優である以上は単に佇んでいるだけではいけない。ちゃんと演技をしなきゃならない。でもじゃあ、ちゃんとした演技とは実際のところ、どんなものを指すのだろう?

 これは映画表現を専門としてきた筆者の実感だが、(映像の)俳優の演技とは、ズバリ、フレーム内にピタッとおさまる才能だと思っている。変にエモーショナルにならずに、どこまでも無駄がなく、シンプルに。

 その上で演じる役柄の内面(キャラクター)と噛み合うこと。『9ボーダー』の木戸は、その意味ではとても悩みながら高木陽太役を演じていたのではないかと想像する。

 ウブでピュアな印象はそのためだと思うのだが、木戸大聖という俳優を考えることは、そのまま演技そのものについて考えることにつながるのだ。

◆細部で情感を漂わせる人

 迷える演技が魅力的に写ることがある。菅野美穂主演ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』(テレビ朝日、2023年)では、菅野扮する伊沢ゆりあと事実上の不倫関係になる伴優弥を演じた。

 ゆりあの自宅改装のために優弥が出入りするようになった当初は、単純にさわやかな好青年という雰囲気だったが、実はゆりあと同名の息子を育てる父親なのだ。

 木戸にとって、父親という役柄の追加は新鮮なもの。不倫関係に躊躇しながら、木戸自身がどこか葛藤するように優弥役を演じる姿に好感を持てた。

 第5話、ゆりあと車内で会話する場面。色っぽい空気感漂う中、木戸が「ンフフッ」と控え気味に、緊張(葛藤)を解くように、若干吹き出してはにかむ感じがとてもよかった。

 これは、『僕たちの校内放送』で演じたボッチ高校生・今野浩哉が放送室で興奮気味に「テェッ」とキモカワに笑う間合いと似ている。

 なるほど、木戸大聖は、もしかすると吹き出す瞬間に本領発揮する俳優なのかもしれない。

 あるいは、食べ物を食べる姿もいい。『9ボーダー』第5話ではちょっと切な可愛くコロッケを、出演最新作『海のはじまり』第1話では朝食場面で黙々ともぐもぐ。こういう細部で情感を漂わせる人なのだと思う。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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