教師から生徒への性暴力に気づいた“保健室の先生”、加害者を突き止めようとするも「立ちはだかるカベ」とは?<漫画>
女子SPA! / 2024年7月10日 15時46分
主人公の養護教諭・莉生が出会った被害女性・円城遥(えんじょう はるか)は、それを「時限爆弾」と表現する。いつ爆発するかわからない時限爆弾を抱えて生きる、その人生がいかに困難か。
◆自分を責めるしかなかった
さいき「そうして相談される方たちも、60、70代まで時限爆弾が爆発しなかったわけではなく、早々に爆発していた人も多いと思います。でもそれがたとえば、『中学のときに先生から受けた性暴力』が原因だ、と気づくのはむずかしい。
遥も精神科を受診し、うつ病の薬を処方されていました。けれど服薬しても、まったくよくならない。本当の原因にたどり着いていないからです。ずっと不安定で、何をやってもうまくいかず、自分はダメな人間だと思う……電話相談してくる60、70代の女性たちも、そんなふうに自身を責めながら生きてきたのではないでしょうか」
文部科学省の調査(2022年「人事行政状況調査」)によると、児童生徒または18歳未満の子どもに対し性暴力を行ったとして、2022年度に処分を受けた公立学校教員は、119人。いうまでもなく氷山の一角に過ぎないが、1人の教師が出した被害者が1人とはかぎらない点にも注意が必要だ。
『言えないことをしたのは誰?』の加害教師も、何年にもわたって複数の女子生徒を毒牙にかけていた。校内で加害行為をしていながら発覚しなかったから、つづけてこられた。なぜそんなことが可能なのか?
◆たまたま、事件が起きた
さいき「学校の現場では、『先生が、まさか』『先生が生徒にそんなことをするわけがない』という前提が共有されていると、取材で感じました。最近は、学校での教師による性暴力がニュースになることも多いですが、同じ県内の学校でそんな事件があったという報道を見たら、おそらく『あの学校にはたまたま、悪い教師がいた』と解釈するのではないかと思います」
その見方こそが、加害教師にとって有利となる。
莉生は職員室で、性暴力が現在進行形で起きている可能性を教師たちに訴えた。しかし教師たちはそれを信じないどころか、「同僚をそういう目で見てたってどうなの」と莉生に対して不信感を募らせる。
◆いじめと性暴力の共通点
さいき「教師を疑うよりも生徒を疑うのが、学校の体質なのかもしれません。悲しいことですが、そんな空気も取材で感じました。生徒の言うことを受け止めたり真に受けたりしたら舐められる、という意識がいき渡っている学校もあるようです」
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