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教師から生徒への性暴力に気づいた“保健室の先生”、加害者を突き止めようとするも「立ちはだかるカベ」とは?<漫画>

女子SPA! / 2024年7月10日 15時46分

本作には、早退した生徒のことを“仮病”と決めつけるシーンがある。それと、生徒の性被害を疑い、教師の言い分だけを信じることは、地続きの問題だろう。

さいき「性暴力って、見ようと思わなければ本当に見えないものなんです。現に起きていることを否定するような雰囲気が、学校という場にはあるのでしょう。性暴力だけでなく、いじめを苦に生徒が自死した事件で、校長が『本校にいじめはない』と言い切るコメントは、みなさんも何度も目にしたことがあると思います。『うちの学校にかぎって』は組織防衛の考えからくるものだと思いますが、とても恐ろしいです」

加害行為の責任はすべて、加害者自身にある。しかしそれを実行しやすい環境、継続しやすい環境がなければ、犯行を未然に、あるいは最小限に食い止められるはずだ。

◆生徒をグルーミングするのは簡単?

さらにむずかしいのは、生徒が「自分は性暴力に遭ったのだ」と認識できずにいるケースだ。子どもの性暴力は、被害認識を持ちにくい。理由としてまず、日本では性教育が遅れていて子どもに知識がないことが挙げられるが、加えて、大人から子どもへの性暴力には「グルーミング」がともなうことも忘れてはならない。

グルーミングとは、「手なづけ」と訳されることが多く、大人が性的接触を目的に、親切や好意を示しながら子どもに近づき信頼や依存を高めることであり、一種のマインドコントロールだといわれる。

本作でも加害教師は、複数の生徒にグルーミングを仕掛けるが、生徒の“個性”にあわせてその手法を変えている。

さいき「私がストーリーを考えるなかで、加害教師の立場に立って、その生徒たちのことを想像してみたんです。性格も生活環境も交友関係もバラバラの少女たちを、グルーミングするにはどうすれば? と。そしたら意外なことに、スラスラと浮かんできたんですよ。この子にはこんな言葉をかければいい、こっちの子にはこんな態度を……といった具合に」

◆教育改革と学校内性暴力

作中でグルーミングされるのは、13~14歳の女子生徒。背伸びして大人ぶっている生徒もいるが、子どもである。大人からすれば何を求めているのか、何を期待しているのか、逆に何が弱みなのかが、手に取るようにわかるということだろう。

そうして子どもが、教師との行為を「自分から望んでした」と思い込まされる。

さいき「加えて、日本では『上の言うことには絶対服従』という空気があります。企業でもそうだと思いますが、学校現場では、2006年にはじまった教育改革で“ゼロトレランス教育”が導入されたことが大きいでしょう。ゼロトレランスとは“寛容ゼロ”という意味で、規律に違反する生徒がいれば厳しい処罰措置をとるという方針……要は、締め付けです。そんななかで、生徒が個人の意見を表明しやすいわけがないですよね」

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