1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

「維新による文化軽視」と批判もあるが実情は…“博物館の収蔵品廃棄”の知事発言うけ館側が明かす

女子SPA! / 2024年7月19日 8時44分

本当に過酷な負担になることでしょうが、保存と研究と展示という展望の中で、改めて『奈良の民俗とは何か?』を真剣に考えてもらい、より魅力的な博物館に生まれ変わることを切に念願します。災転じて福となす、というような対応を期待しています」

 最後に「奈良県の行政の責任」も指摘した。

「もちろん奈良県の行政にも責任があります。博物館の問題が分かっていたにもかかわらず、長い間放置していたのですから。その無責任な姿勢も大きな問題なのです。山下真氏が維新であることに批判が集まっているようですが、それまで4期16年にわたって県政を率いていたのは自民党の荒井正吾氏でした。むしろ新たな知事になったことで、見て見ぬ振りをされていた問題にメスが入ったとも言えるでしょう」

 収蔵品問題は奈良県に限った話ではない。2019年度の日本博物館協会による調査では、全国2300あまりの博物館のうち「収蔵庫が9割以上埋まっている」「入りきらない資料がある」の回答は合わせて60%近くにのぼった。これらの回答の中には、奈良県同様に未整理の資料で収蔵庫が埋まっているケースもあれば、単純に収蔵面積が足りていないケースもあるだろう。

 かけがえのない文化を後世に伝えていくために、文化庁と地方行政とがより良い対応を考え、また市民である私たちも注意し続けなければならない問題なのだ。

<取材・文・撮影/岸澤美希>

【岸澤美希】
國學院大學卒の民俗学研究者。編集者・ライター・ポッドキャスター。論著に「関東地方の屋敷神―ウジガミとイナリ」(『民俗伝承学の視点と方法』新谷尚紀編、吉川弘文館)などがある。ポッドキャストで「やさしい民俗学」を配信中

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください