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42歳で乳がん宣告された私。抗がん剤で抜けた髪が生えてきてギョッ!鏡を見るとそこにいたのは

女子SPA! / 2024年8月13日 8時44分

 ばっちり髪を染め上げたお風呂上がりのわたしは、さっきの「老いた父」状態よりもずいぶんいい感じに見えました。お風呂上がりで少し顔色が良くなったせいもあるかもしれません。白髪がなくなった自分を鏡で見て「あっ、生き返った」と思いました。

 自分でも予想しないほどに「ふわっ」といい気分が心の底から持ち上がってくるのを感じたのです。毎日鏡で不健康そうな自分を見るたび「もうどうでもいいや」とおしゃれをする気さえ失せていたわたしですが、この日を機に、もう少しおしゃれしたいなと思うようになりました。

◆偶然見つけたオレンジ色のスカート

 もともと洋服好きでしたが思い返せば、メンタル不調になってからは、服を選ぶ気力もなくなっていました。外出の際には、何年か前に買ったシワにならなさそうな服を毎回着ていました。靴も毎回同じ黒いスニーカー。けれどこの白髪染めの一件以来、なんとなく素敵な服が着たいと思うようになりました。

 ある日、通りすがりのお店で、ハッとするようなオレンジ色のスカートがウインドウにディスプレイされているのを見つけて、吸い寄せられるように店内へ。「思い切り明るい色の服が着たい」と思い、そのオレンジのスカートを試着。スカートに合わせた明るい柄のストールも巻き、鏡に映った自分を見てまた「うわぁ、いいかも」と気持ちが明るくなり、そのスカートを購入しました。

 少しずつ気持ちが戻ってきたのは、息子の塾が決まったことも大きな理由だと思います。今まで悩んでばかりで何事もうまくいかず、闇の中でもがいていたけれど、目先のやるべきことが決まったことで、悩むだけでなく具体的な行動が伴うようになったことが良かったのかもしれません。

 やっと息子の塾が決まったので、少し遠い塾までの送迎をするために、ペーパードライバーのわたしは運転の練習を始めました。ものすごく怖がりなので、初心者マークを貼って、ひとりで何度も塾までの道を往復して猛練習。週に3回、息子の塾送迎をするルーティンが始まり、塾が終わるのを待っている最中に、車を停めたショッピングモール内で買い物をして時間をつぶしたり、なんというか「普通の人」っぽいこともできるようになってきました。

◆お惣菜がおいしそうに見えるように

 モールで時間をつぶしていると、食品コーナーのお惣菜もおいしそうに見えてくるようになった自分にも気づきました。「わぁ、おいしそう。食べたいなぁ」と自然に感情が沸き上がってくる自分が不思議でした。だって数か月前まではご飯を食べることさえ面倒で、仕方なくキッチンに立って手づかみで白米をむさぼっていたのですから。

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