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42歳で乳がん宣告された私。抗がん剤で抜けた髪が生えてきてギョッ!鏡を見るとそこにいたのは

女子SPA! / 2024年8月13日 8時44分

 そうやって徐々に自分の人間らしい「欲」みたいなものが復活してくるのを感じました。わたしは本来あちこちに興味があり、やりたいことも、欲しいものもたくさんある。やりたいことは必ずやる、欲しいものも買っちゃうという性格。悪く言えば浪費家の面があり、我慢ができない自分を責めることもありました。特に夫が倹約家だったので、お金の管理ができないことにコンプレックスや罪悪感を抱いたこともあります。

 けれど乳がんになり治療の途中でメンタルをやられ、どん底の無気力を経験したことで、「美味しいものが食べたい」「旅行に行きたい」「おしゃれがしたい」などの欲が出るのは、心身ともに元気な証拠だと身をもってわかりました。

 それまでの時期は本当に息をするのもつらかったけれど、それを経て、「ご飯をおいしく食べる」といういつもの行動が実は「かけがえのない生」であると気づけたわたしは、もしかしたら幸せ者なのかもしれません。

◆「人って死ぬんだ」と本当の意味で実感した

 そして、乳がんの治療も「生きるため」に取り組んだこと。乳がんを患ったときは確実に「死」を身近に感じました。みんな寿命が来たら確実に死ぬのに、それでも自分が死ぬことを実感するってなかなかできないと思います。けれど乳がんと診断されたとき「ああ、このまま放っておいたら死ぬんだ、わたし。人って本当に死ぬんだな」と思ったのです。

 リアルに死を感じたことで、生きていることの貴重さがわかりました。治療中にメンタルをやられ「生きていることがつらい」と闇をさまよっていた期間は、「せっかく治療をして生かしてもらっているのに」と、自分の中の矛盾を責め、罪悪感もありました。

 だからこそ、動けるようになってきたときに「これからの人生は思い切り楽しんで生きよう」と誓いました。美味しいものを思い切り味わって、やりたいことを思い切りやろう。自分が思い描いていることを叶えるために思い切り頑張って、どこまで叶うかやってみよう、とどんどん意欲的になっていきました。

 やっとごはんを美味しく感じられるようになったのだから、家でも美味しいごはんを食べようと、あれこれレシピを試して料理をしはじめました。闘病で減った10キロを取り戻すどころか上げ止まらず。元の体重を通り過ぎてグングン増加してきました。定期検査で先生に「太りすぎはがんのリスクだから気を付けて!」と言われる始末。

 けれど、先生もわたしの不調は見ていたので「先生、ご飯がおいしくなったんです!」と伝えると「それは本当によかったね」と喜んでくれました。

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