時代劇が海外で今、評価されるワケ。『SHOGUN 将軍』がエミー賞18部門受賞の快挙!
女子SPA! / 2024年9月25日 15時45分
とはいえ、難しいのは言語の壁。これまで特にアメリカでは、非英語の映像作品につきものの「字幕」や「吹き替え」に対するアレルギーが強いとされてきた。
だが、それもコロナ・パンデミックによって一気に普及した映像配信サービスでの全世界同時配信作品が増えたこと、その前後にアカデミー賞(2020年)を獲得した映画『パラサイト 半地下の家族』やエミー賞(2022年)を獲得した『イカゲーム』の成功によって、言語の壁、字幕のハードルは一気にズルっと下がった。そういった視聴環境ができていたことも、『SHOGUN~』の成功につながったといえるだろう。
ともあれ、高評価の理由は作品が幅広い世代にリーチしたからにほかならない。エミー賞は業界人によって選ばれる賞だが、視聴者の圧倒的支持と話題性がなければノミネートは叶わなかっただろう。
◆日本人のマインドに根付いている「勧善懲悪」がベース
アメリカでの高評価ばかりが報道されているが、日本でも若い人を中心に人気を博している作品である。その理由は戦国時代日本を舞台にしたエキゾチックな世界観と、日本の時代劇が培ってきた「勧善懲悪」ベースの物語だからであろう。
日本では、一昔前までは年末や正月の特別番組として大型時代劇が制作されるのが定番だった。それよりもちょっと前まではゴールデンタイムに時代劇が放映されているのが当たり前だった。豪華絢爛なセットや衣装、チャンバラアクションを含むマーシャルアーツや乗馬、そして強きをくじき弱きを助ける人情物語。
しかし、これらの設定が常に貫かれているジャンルだけに「マンネリ」とされ、客離れしてしまったために、制作本数が激減してしまった。しかも、手間と金がかかるジャンルゆえに、制作にまつわる技術継承もされぬまま消えかかっている。
でも考えてもみてほしい。人情味あふれる物語やゴージャスな衣装やセットは、不安と不穏と不況の三拍子が揃った現代を生きる誰にも夢を与えるものだし、そもそも大好物なはず。特に今の日本では。『SHOGUN~』には、その日本人マインドに響く作品になっているのだ。
◆「大きな再解釈をすることなく映像化」原作本の奥深さ
戦国時代、関ヶ原の合戦前夜。徳川家康をモデルにした虎永は五大老に命を狙われていた。そんなときに、イギリス人航海士ジョンを乗せた船が難破し、虎長の領地に漂着。虎永はキリシタンで英語を喋ることができる戸田鞠子を通訳にしたことで、ジョンから異国の戦術を学びとる。また、命を救われたジョンもまた当時の日本で暗躍していた外国人宣教師たちの陰謀を暴こうとしていた――。
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