朝ドラで存在感を放つ50歳も実は“二世俳優”、父は『ちゅらさん』で頑固ジジイ役を好演
女子SPA! / 2024年11月15日 8時45分
第3週第12回では、深酒をする聖人が回想する高校3年生の姿をまさかの北村本人が演じる。ロン毛で若作りした荒技的サービス映像だった。
◆頑固ジジイを演じていた父・北村和夫
第2回の夕食場面で、結の祖父・米田永吉(松平健)と繰り広げる父子の小競り合いも見ものだった。食卓で野球中継を見る永吉が、応援するチームが負ける様子を見てテレビを消せと聖人に指示する。
テレビに一番近い席に座る聖人だが、またつけろと永吉。聖人が文句を言いながら付き合ってやるのだが、画面奥の松平健と画面手前の北村が演じる父子の寸劇的なやり取りが可笑しくてたまらない。
松平が演じる福岡の頑固ジジイ感がややステレオタイプではあるが、北村の仏頂面からコミカルな要素だけをうまく抽出している。そういえば、北村の父・北村和夫が、2001年に放送された朝ドラ『ちゅらさん』で頑固ジジイを演じていたっけ。
◆なになにジジイを演じた『ちゅらさん』
北村和夫が演じたのは、元外科医・島田大心。誰ともコミュニケーションを取らず、自室の扉をぴしゃっと閉めている。沖縄から上京してきた主人公・古波蔵恵里(国仲涼子)は隣人。
第5週第30回で恵里が挨拶回りをする場面がある。扉を少しだけ開けて隙間から顔をだす島田が「なに」と無愛想にふるまう。扉を開けて見せる仏頂面は北村有起哉そっくり。第7週第37回でも「なに」。偏屈な、なになにジジイなのである。
成瀬巳喜男監督の『乱れる』(1964年)が筆者は大好きだ。加山雄三演じる森田幸司の義理の兄を北村和夫が演じた。出番は少ないが、喫茶店場面で加山と向かい合って座り、ひたすら知的で慇懃無礼なくらいがちょうどいいといった雰囲気が絶妙で、深い低音の声が魅力的な人だ。
◆かつての時代の余韻を生きている二世俳優
北村和夫の簡単な経歴を紹介しておくと、1953年にテネシー・ウィリアムズの戯曲『欲望という名の電車』でスタンレーを演じ、杉村春子の相手役になったことから、1955年に文学座の座員になった(成瀬巳喜男監督の『晩菊』で元芸者・倉橋きんを演じる杉村春子は、世界映画史の名演として記憶されている)。根っからの演劇人である。
北村有起哉もまた俳優デビュー作が舞台作品(『春のめざめ』)。と同時に今村昌平監督の『カンゾー先生』(1998年)で映画作品とWデビューした。北村有起哉は、今村監督が設立した日本映画学校(現在の日本映画大学)で演技を学んだひとりだが、今村監督と北村和夫は大学時代からの付き合いだった。
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