「不登校児をとにかく復帰させようとする風潮」に疑問。子どもの精神科看護師が語るリアルとは
女子SPA! / 2024年12月20日 8時47分
こど看さんは、子どもたちの不登校が長期化する要因も考察します。
「考えられる要因の一つとしては周囲との比較で、日に日に学校に通いづらくなってしまうお子さんが少なくないと思っています。引きこもっている状況で『他の子は学校へ通えているのに、自分は通えてない』と、どんどん追い込んでしまうんです。大人の会話も意外と聞いていますし、自室から親御さんの会話が聞こえてきて『今日も親は自分が学校に通えていないと話している。僕のせいだ……』と、自分を責めてしまうお子さんもいます」
◆学校を否定するわけではない
世間では旧態依然とした“根性論”などで「不登校が解決できる」「無理矢理にでも行かせるべきだ」という意見も。子どもたちを無理に通学させるのは、根本的な解決になるのか。保護者側の対策を、こど看さんはアドバイスします。
「とにかく『学校へ復帰させよう』として、不登校の対策を打とうとする社会的風潮もありますが、医療側としては疑問もあります。お子さんにとって身近な保護者の方には、まず、じっくりお子さんの声に耳を傾けてほしいと思っています。学校に通いたくない理由を、丁寧に、話をさえぎらず聞いていくことが大切です。そして、子どもから語られた言葉を大人の価値観で判断せず、その子にとってもっとも良いことはなにかを考えていってほしいです。
こういうことを言っていると、時折誤解されることもありますが、私自身は学校を否定してるわけではないんです。勉強ができておいしい給食を食べられて、友だちを作れるかもしれない環境には、意味があると思っているんです。ただ、子どもたちが『通いたくない』と思うなら、今は、学校内の支援学級やフリースクール、オンラインスクールの選択肢もありますし、お子さんの意見を尊重して『本人、そして、家族にとってもっともいい環境とは何か』を、みんなで話し合うのが理想です」
◆子どもの話をひととおり聞いてから共感する
こど看さんの勤務する病院では、保護者が子どもとの関わり方を学ぶ「ペアレントトレーニング」も実施しているそう。子どもたちに「どう声をかけたらいいか分からない」と悩む保護者に対して、日々、看護師としても心がけるコミュニケーションの方法も教えてくれました。
「お子さんの話をひととおり聞いてから『そうなんだね』と繰り返し共感するのが大事だと思います。知識も経験もある大人からみると、お子さんの話は突拍子もなく聞こえるかもしれません。会話の流れから察して『学校に通えないのはこんな理由でしょ?』と口を挟みたくなるかもしれません。
子どもの意向を軽視して登校にまつわる環境の調整を大人主体で行うと、子どもの立場からすれば「自分は軽視されている」と感じる可能性は大いにあります。そのような状態の中で、問い詰めるように『なんで、学校に行かないの?』と質問を重ねても心を閉ざしてしまうので、『理由を聞き出したい』という気持ちをグッとこらえて、お子さんのペースに委ねて、あくまでその子が話せる時に、話せる分だけ話してもらうといったスタンスで子どもと関わります」
不登校は問題行動ではないーー。この認識を多くの大人が持てるようになれば、当事者や家族の苦しみももう少し軽くなっていくのかもしれません。
<取材・文/カネコシュウヘイ>
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