「ジェンダーって何?」の時代にブレイク!石井明美が明かす、強いられた“大人の夜の女”イメージ
週刊女性PRIME / 2024年3月2日 11時0分
『男女7人夏物語』(TBS系)といえば、1986年に明石家さんま主演で大ヒットした昭和ドラマ史に残る名作のひとつ。その主題歌『CHA-CHA-CHA』を歌ったのが石井明美で、デビュー曲で一躍ブレイクを果たしている。
「売れないと思ってました」
さぞや期待の大型新人だったかと思いきや、
「売れないと思ってました。私もそうだし、周りも売れるはずないと思ってた。何しろ当時はまだ歌手としてレッスン生の段階でしたから」
とは意外な言葉。実は、石井の主題歌歌手への起用にはこんな経緯が─。
「もともとあのドラマは試作だと聞いていました。芸人さんが俳優としてドラマに主演するのはあれが初めてだったんです。ドラマ自体当たるかどうかわからないから、主題歌も事務所のイチオシ歌手を使うわけにはいかない。そこで入ったばかりの私に任せとくかとなった。小手調べという感じだったと思います」
ところがドラマは最高視聴率30%突破を記録。石井が歌う主題『CHA−CHA−CHA』も、オリコンランキング年間1位という快挙を成し遂げる。予想外の大ヒットに当人はおろか関係者全員、驚いた。周囲は騒がしくなり、プロモーションにも改めて力を入れた。
「レコード会社の方たちとみんなでおそろいの法被を着てテレビ各局を回りました。団体でどっと押しかけて、ノベルティーを配るんです。私のノベルティーはスイカ(笑)。イメージが夏だったので」
当時はちょうどバブル景気が始まったころ。芸能界はひときわ華やかで、「お金のかけ方が今と違った」と振り返る。
「打ち合わせにしろ、取材にしろ、ちょっとしたことでリゾートに繰り出してましたね。事務所で取材を受けている今とは大違い(笑)。雑誌のスチール撮影をフランスでする、なんてことも普通にありました」
『ザ・ベストテン』(TBS系)をはじめ、音楽番組にもひっぱりだこ。番組にかけられる予算もまた今とはケタ違いだ。
「今は同じセットでライティングを変えるくらいですよね。でもあのころはセットも豪華で、1人のアーティストにつきワンセット造られ、曲が変わるごとにセットチェンジしてました。ただ私は、TUBEさんのセットの椰子の木を使い回したことはあったけど(笑)」
ジェンダーのジの字もない時代
当時はイメージ戦略も徹底していた。彼女に強いられたのが“大人の夜の女”のイメージ。それは彼女自身とは正反対のタイプであり、キャラクター像は完璧に創作された。
「素が出てしまうので、まずしゃべったらダメだと言われました。取材でも極力話さず、“そうですね”と言うだけ。夜の女性だから日焼けは禁止。好きなお酒はオシャレなカクテルで、間違っても焼酎ですと言ってはいけないと。かまぼこが好物だけど、それも絶対に言っちゃダメ。居酒屋によく行くなんてとんでもない(笑)。今だったらたぶんSNSですぐバレてしまうけど」
SNSがない分、取材合戦は熾烈だった。写真週刊誌が花盛りのころで、石井自身ターゲットになったこともある。
「垣根の奥で張り込んでいて、パシャッとシャッターの音がするんです。びっくりしましたね。いつからそこにいたんだろうと……。自分がターゲットになるなんて思っていなかったから、あまり気をつけてもいませんでした。一応恋愛禁止でした。でも撮られちゃったから別れましたけど」
『CHA−CHA−CHA』に次いでのヒット曲が『ランバダ』。当時はレコードに代わってCDが出始めたころで、『ランバダ』もカセットとコンパクトCDの2種類販売している。
『ランバダ』で注目されたのが、セクシーなダンスと衣装。今となってはタブーも多そうだが、
「『ランバダ』にしてもそうだけど、私はあまり布の面積が大きい服を着せてもらえなくて(笑)。ジェンダーのジの字もない時代だったから、女性であること自体を武器にしてしまえという感じ。中身がおじさんなので、見た目ぐらいはということでしょう」
と笑い飛ばす。今なお過去のヒット曲を歌う機会は多いが、そこでひとつ困ることがあるという。
“辛口セクシーガール”
「例えば“西麻布のカフェバー”とか、歌詞ってそのとき流行った言葉が入ってるじゃないですか。そういう曲は今となっては歌いにくいですよね。『CHA−CHA−CHA』も、よく聴くと“辛口セクシーガール”なんておかしい歌詞がたくさん出てくるんですけど(笑)」
昭和のファンのみならず、最近は若いファンも増えた。時代を問わず愛され続ける、不変の魅力はどこにあるのか。
「やっぱり曲がいいですよね。今より昔のほうがイントロがキャッチーだったと思います。だから『男女7人』でも、ここぞというシーンに流れてたし。あと若い子には、私が年がいもなくミニスカートをはいて踊っているのがウケてるみたい(笑)。あの年齢になってもあんなふうに踊れたらいいな、60歳近くになってもあんなヘアスタイルにしてもいいんだ、ああいうふうに年を取っていけたらな─、なんて思ってもらえたらいいですね」
一世を風靡した!1986年放送ドラマ
『男女7人夏物語』は最高視聴率31.7%をたたき出す大ヒットに。ほかにもドラマ『不適切にもほどがある!』で阿部サダヲ演じる小川市郎が話題にした『毎度お騒がせします』(TBS系)は、下ネタとともに男女とも下着姿や半裸の入浴シーンが当たり前。
また、神奈川県警横浜港警察署捜査課の刑事コンビ、タカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)の破天荒な活躍を描いたドラマ、『あぶない刑事』(日本テレビ系)も国民的な人気に。今年の5月には映画『帰ってきた あぶない刑事』が封切られる。
誰もが知るアレも1986年に発売!
1986年当時、900万台が普及していたといわれるファミコン黄金期の中、誕生したのが『ドラゴンクエスト』。漫画家の鳥山明デザインのキャラでも話題に。現在ドラクエは、80を超えるタイトルが発売されており、累計販売本数は8800万本を超える人気ぶりだ。
富士フイルムが世界初のレンズ付きフィルム『写ルンです』を発売したのも1986年。まだカメラが高級品だった時代に、使い切りの手軽さで大ヒット。現在、若者を中心にレトロ感がウケて再流行している。
取材・文/小野寺悦子 撮影/齋藤周造
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