【契約解除から3か月】「改名しようと…」ジャンポケ太田とおたけが初めて語る“斉藤慎二への思い”
週刊女性PRIME / 2024年12月29日 11時30分
お笑いトリオ・ジャングルポケットの斉藤慎二は今年10月、自身の不祥事によって吉本興業から所属契約を解除された。残る太田博久とおたけはコンビで芸能活動を続ける道を選び、来年3月には2人体制となって初の単独公演『HYDROGEN』開催を発表。
そこで今回、斉藤の事件後から初となるインタビューに応じた2人は、改名を巡る紆余曲折や現在の斉藤との距離感、そしてこれからの『ジャングルポケット』についても『週刊女性PRIME』の取材に赤裸々に語ってくれたーー。
2人だからこそできる「新たなネタづくり」
斉藤は今年7月、テレビ番組のロケ現場で共演する女性に対して性的暴行を加えたなどとして、10月に書類送検。まだ事件は捜査段階で、起訴されるかどうかも明らかになっていない状況だが、斉藤は実質的に“芸能界引退”に等しい状態となっている。
契約解除の発表があった翌日となる10月8日、太田とおたけはそれぞれのSNSで被害者や関係者に謝罪するコメントを出していたが、先々の活動や展望について太田は「おたけともしっかりと話し合い、今後のことを決めていきたい」と触れるだけに留まっていた。
太田「結局、その後も斉藤を含めての話し合いというのは一度もしてないです。僕らは発表の少し前に会社から説明は受けていましたが、その時もすでに斉藤は謹慎状態だったので会うってこともなかった。吉本から『解雇することになった』と聞いて、その後会社に呼ばれておたけやスタッフの方々と今後についての話し合いが始まったという流れです。何年か前に『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で『もし斉藤が脱退したら太田とおたけはどうするのか』というドッキリ企画があったんですが、まさか本当にその状況になってしまうとは」
突然トリオからコンビになってしまったジャンポケ。一度解散して、あるいは名前を変えての出直しなど、様々な選択肢はあったがーー。
太田「ふたりでなんとかやっていかなきゃとは思うものの、じゃあネタはどうするかってなるじゃないですか。やっぱりジャンポケのネタは、看板も主軸もあいつ(斉藤)だったんで。僕としては吉本に所属している以上は、ネタが強くないと生き残れないぞと思っています。群雄割拠と言いますか、ウチの事務所には僕らより若くてギャラも安いけど、人気があって面白い子たちがたくさんいます。そこで、一から出直しという意味も含めて、すべて書きおろしのネタで単独公演を開催することになりました」
ジャンポケのネタはすべて太田が作っているが、3人からふたりに、しかもフロントマン的存在だった斉藤がいなくなったことで、すべてが変わってしまった。
太田「ネタ作りに関しては、かなり模索しています。でも、一方で『斉藤がいたから出してない僕らの個性』みたいな部分も確実にあります。よく言われるのは、僕らのネタって基本的に“斉藤のキャラに設定を付け足している”形じゃないですか。ロバートさんほどキャラは突き抜けてないし、東京03さんほど設定はしっかりしてないけど、どちらも半分くらいを目指して、結果ちょうどいい感じの設定でちょうどいい感じのキャラが出てくるというか。僕らはそういう作り方をしていたし、周りからもそう言われていました。
でも、意外と僕とおたけもジャンルで言えばキャラコントのタイプで、これまではずっと斉藤の影に隠れていたというか、斉藤を活かすための要素として割り切っていた。だから最近は設定を作るよりも“まず僕ら自身の要素から作れるネタってなんなんだろう?”っていうところでの試行錯誤の日々です。実際にやってみたら全然面白くなくて、今回の単独ライブが最初で最後になる可能性もありますけど(笑)」
新生・ジャングルポケットとして歩み始める太田とおたけ。しかし、事件を受けてその看板にはネガティブなイメージもついてしまった。
斉藤が考えた“改名案”とは?
太田「実は、改名しようと思っていました。やはり最初は絶対にイジられるので、イジられ続けて、どんどん新しい名前が広まっていけばいいなと。18年もジャングルポケットとしてやってきて、賞レースでもそれなりの結果を出した上で改名というとあまり前例がないと思ったので話題になるかと思いました。
ただ、お世話になっているスタッフの方と話した時に、ジャングルポケットは『財産でもある』と言われたんです。18年やってきて、たくさんの方に知ってもらっている名前。その名前を変えるという選択もあるけど、ジャングルポケットという名前は財産として残して、そこから新たに加点していけばいいんじゃないか……と。僕としても、別にこの名前が嫌になったというわけでもないので、その後も何度も会社に来てみんなと話し合いをして。それこそ12月、ライブのポスターを制作するギリギリまでずっと話していました」
おたけ「僕も別に『変えたくない』ってわけではなかった。ただ、改名するとして僕と太田の案がうまく合わなくて、揉めるのも違うかなと思いました。コンビ名なんて正解はないし、めっちゃムズい問題じゃないですか。誰か、逆らえないような先輩に『こうしろ!』って言われてたらまた違ったかも知れないですが。でも最初に3人でトリオを組んだ時に『名前を残したい』という気持ちがあったんで、今回もなんとか残せたなと(笑)」
太田「僕らももう40歳を超えている。これが30歳だったら変えていたかなとも思いますが、もはやいつまでお笑いができるかも分からないですし。『ジャングルポケット』は残した上で、新たな僕らふたりを見てほしいなという気持ちになりました」
3人で会って話す機会はなく、関係性も大きく変わってしまったものの、太田は改名の相談やライブ開催など斉藤と連絡を取ることはあるそうだ。
太田「僕が『新しくコンビ名を付けようと思うんだけどどうしたらいいと思う?』と聞いたら、斉藤は『バディ』って案を出してきて』
おたけ「まあボケたんでしょうけど……」
太田「大喜利強くないんで、あいつ(笑)僕らは学校の同級生とかではなく、大人になってからトリオを組んだので、関係性としては“友人”ではなく“同僚”が最も当てはまる。ドライな部分もありますが、一方で、こんなに距離感が近い同僚ってなかなかないですよね。実際に斉藤とは、家族や友人よりも長い時間を一緒に過ごしてきました。でも、あいつのために人生をなげうって、会社を辞めてまた一緒に……なんて気もさらさらない。この件で『斉藤が嫌いになった』というわけでも全然ないですが」
なお、斉藤は正式に「ジャンポケから脱退した」とは発表されていない。
おたけ「『解散』とか『脱退』とはうたってませんから。あくまで彼だけ『吉本を抜けた』っていう形です」
太田「でも僕らが3人で活動するとなると、やっぱりそれは吉本の仕事になる。つまり、劇場やライブでネタを披露するということですね。もし将来、斉藤が活動再開みたいなことになったとしても、現実的に活動できる場がない。いつかは3人で何かすることはあるかもしれないですけど、現状では『ジャングルポケットとしてネタをやる』場所やプラットフォームがないですね」
斉藤からの電話に1度も出ないおたけ
おたけ「こうなってしまったことについて『なんでだよ』とは思ったけど、別に恨みとか怒りはないです」
太田「でも、そういえばおたけは関係者で唯一、斉藤と連絡を取っていないです。斉藤からの連絡もスルーで(笑)」
おたけ「普通に電話しても仕方ないなと。想像できること以上にしゃべることはないというか、謝られたところで『で、なんなの?』ってなるだけでしょう」
太田「彼は別に冷たいとかいうわけじゃなく、本当にこういう人間で(笑)。サイコパスというか、超合理主義者というか……。確かにどういう会話になるかって、ある程度分かるじゃないですか。謝られて、沈黙して……。おたけはそれに意味を見出さないから電話も取らない」
おたけ「別にふざけるつもりはないけど、どっかで笑っちゃう気もして。『お、落ち込んでる芝居でくるのか?』みたいな。じゃあそもそも話さなきゃいいってだけで」
太田「斉藤も『こうありたい』という“斉藤慎二像”を作るタイプなんでね。でも、一方で僕とおたけは似てる部分があって、理解はできる部分もあります。ただ自分は情に傾いているけど、おたけは理屈に傾いていると言いますか」
おたけ「でも、僕は仲間のことは全力で守りますよ」
太田「ハハハハ!! 18年やってきたけど、斉藤はギリギリ仲間のカテゴリに入らなかった?(笑)。でも実際に僕らのこういう関係性が仕事としてうまくいってる部分もありました。喧嘩芸じゃないですが、『全員が全員をバカにしているトリオ』ということで、それでテレビからオファーがくることもありましたからね。
改めてですが、僕らは本当に心からバカにし合っていて、それを口にできる。それは信頼関係があるからです。普通、芸人のネタ作り担当を悪く言うことってあまりないけど、僕はずっと全力でバカにされてますから(笑)。だからこんな事態になっても、ジャンポケは『お前なんてことしてくれたんだよ!』みたいな展開にはならないんです。本当にいい意味で喧嘩ができるビジネスパートナー。だからこそネタだけは、3人で協力して全力で作れたんです。
逆境に見える方もいるでしょうが、むしろおたけはギアが上がってます。斉藤ってアドリブは好きじゃなかったけれど、おたけは逆に毎回変えたいし、その場で思いついたこともガンガンやりたいタイプなんです。僕はどちらも好きだったんで、今までできなかったことがガンガンやっていけるなと。これからジャンポケはまったく別物になると思う。僕としてもワクワクしながら、どんどん新ネタを作り続けています!!」
取材・文/阿部ベア 撮影/吉岡竜紀
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