「見知らぬ幼児に突然、足にしがみつかれた私。すぐに母親が引き離しに来たけれど...」(埼玉県・50代男性)
Jタウンネット / 2024年2月23日 11時0分
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Fさん(埼玉県・50代男性)
離婚をしたFさんは、元妻やその両親によって愛する子供と引き離されそうになった。
途方に暮れて、かつて子供たちを連れて行った遊園地で佇んでいると、知らない幼児が足にしがみついてきて......。
<Fさんの体験談>
20年前、私は離婚をしました。原因は「2人とも若かった」というものだと思います。結婚して間もなく子供ができ、ラブラブな夢物語から現実を知りました。
専業主婦に憧れていた元妻は、夢と現実のギャップと、子育てに追われる日々に疲弊。一方の私は昼に働くだけでなく、生活費を稼ぐために夜もバイトする日々。2人とも頑張ったのですが、結婚6年に離婚を切り出されました。
「養育費さえ送ってくれれば」
それから紆余曲折あり、離婚に合意する事となりました。元妻の両親は
「若いのだからいちからやり直せばいいじゃない」
「養育費さえ送ってくれれば、子供たちの事は忘れて別の人生を歩んだら?」
と、優しい笑顔で悪魔のような言葉を私に言いました。私と子供たちを引き離すつもりだ、と確信しました。
私は子供たちを心底愛していましたし、面倒もみました。子煩悩を絵に描いたような父親だったと自負しています。元妻の不満の原因の一つに、私が元妻より子供たちとの生活を優先したこともあったのです。疲弊していく元妻を支えられず子供たちとの生活に逃げたのかもしれないと、そのことについては申し訳なかったという気持ちです。
とにかく、子供たちと離れ離れにさせられそうになってどうしてよいかわからず、私は子供たちをよく連れて行った遊園地に一人で行きました。
何も考えられず、ただただ一人で佇んでいました。子供たちが無邪気に楽しそうに遊具に乗っている笑顔を思い出しながら。
すると不意に、私の足に何かがしがみついてきたのです。
「何だろこの子は」
見ると、それは1歳くらいの子供でした。すぐにそのお母さんが「ごめんなさい~」と言って子供を引き離し、抱きかかえていきました。しかし、その子は再びつたない歩きで私のところへトコトコと歩いてきて、また私の足にしがみつきました。
「すみません。何だろこの子は」
笑いながらそう言うお母さんに「いいですよ、人見知りしないお子さんですね」と告げると、彼女は「普段はするんですよ」とお子さんを抱きかかえながら言いました。そして「あなたはお父さんですか」と私に尋ねてきました。
私が「はい」とだけ答えると、そのお母さんは
「きっと優しいお父さんなんですね」
と言って、私にお子さんをだっこさせてくれました。そんな親子と笑顔で別れた後、私は号泣し、そして決意しました。
優しいお父さんをやめるわけにはいかない、と。
「真っ白な暗闇」だった心を救ってくれた
現在、娘は26歳、息子は24歳となり、良好な親子関係ですくすくと育ってくれました。子供たちに捧げたこの半生はとても幸せでした。
あの日、あの遊園地で佇んでいた、心が「真っ白な暗闇」だった私を、あの親子が救ってくれました。本当にありがとう。
しがみついてきたあの子は今、20歳は超えているよな。どんな人になっているんだろう。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)
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