参加費は1万円、それ以上の体験を 横浜の自治会が仕掛ける異色の企画とは

イベントの舞台となる「アニヴェルセルみなとみらい横浜」＝横浜市中区

　横浜市旭区の希望が丘地区にある自治会が、会員限定で異色の企画を打ち出した。参加費は大人1万円。自治会の催しとしては破格だが、人気の結婚式場でフルコースのフランス料理を提供するだけでなく、模擬挙式の参列体験など多彩な仕掛けも用意する。埋没しがちな組織の存在感を示し、既存会員の満足度を高めるための斬新な試みとあって、同じ悩みを抱える自治会の参考例になりそうだ。

　今月12日夜。約650世帯が加入する「中希望が丘富士見会」の自治会館に6人の役員が集まった。話題は自然と、企画の参加者に配る土産の内容に。「全員にお菓子を渡すより、まとまった現金が数人に当たる方がうれしいかも」「一人一人に行き渡った方がいい」「不足分の予算は？」。活発なやりとりが続いた。

　9月23日に開催する「富士見オータムフェス」の舞台は、市内随一の絶景に囲まれた式場「アニヴェルセルみなとみらい横浜」（同市中区）。運営を担う紳士服大手のAOKIグループが、富士見会からの働きかけに応じ、両者でイベントの詳細を固めたという。

　参加者には、一流のシェフが腕を振るうフランス料理をフリードリンク付きで堪能してもらう。さらに、チャペルでの模擬挙式やフラワーシャワー、風船飛ばしといった結婚式さながらの演出に加え、サプライズイベントまで準備する。

　子ども向けのテーブルマナー講座や有料シャトルバスの運行など、年代を問わず参加しやすい工夫も凝らした。いつもは裏方に徹する役員の負担も考慮し、運営は全て式場側に依頼。写真と動画の記録係もスタッフに引き受けてもらった。

　1世帯につき年間3千円の自治会費とは別に、3歳以上は2千～1万円の参加費が必要だが、「それ以上の特別な体験を提供できるはず」と若狭偉男刀（ひろみつ）会長（77）は自信を見せる。

　目下の課題は参加者集めだ。先月末までに約60人の申し込みがあったものの、最少催行人数の100人には届かなかった。そこで、現在は自治会に入っていない世帯にも対象を拡大。本年度分の賛助会員費2千円を条件に、口コミで参加を呼びかけている。