川崎駅前の路上ライブ「うるさい」、警察への通報増加 表現の自由と規制のありようは?
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年8月30日 5時0分
川崎駅東口駅前広場(神奈川県川崎市川崎区)で連日行われている「路上ライブ」を巡り、「うるさい」「邪魔だ」といった警察への通報件数が増えている。駅前を管轄する川崎署は、1日2、3件の通報を受け、警察官が現場に向かうこともある。広場は法律上「道路」に当たるため、使用許可が必要だが、得ずに演奏するミュージシャンが少なくない。「表現の自由」と規制のありようを追った。
週3回、駅前広場で歌っているミュージシャンのSAGAWAさん(30)は「このまま続けられるだろうか」と不安がる。
駅前広場は同市、JR東日本、京急電鉄などが管理する「道路」に該当し道路交通法が適用される。同法第77条には「一般交通に著しく影響を及ぼす行為は所轄警察署長の許可を得なくてはならない」と明記され、具体的には「奏楽」(県道交法施行細則)と記載され、人を集める行為に該当する。
この法規の解釈によって「路上ライブは通行の妨げになる可能性がある」とされ、事前に「道路使用許可」の申請が求められる。申請がなく、アンプやマイクスタンド、譜面台などを路上に置いてライブを始めれば、取り締まりの対象になる。
規定を厳格に運用すれば事前申請のない路上ライブは一切許されないことになるが、駅前広場を所轄する川崎署は悩ましい立場に追い込まれている。
市の担当者は、「市の見解では一律禁止ではないため、『路上ライブをやってはいけない』とまでは言わない」と明かす。
警察側は、市が「音楽のまち」を掲げていることを踏まえ、市から「路上ライブは大目に見てほしい」と依頼されているというのだ。
SAGAWAさんは「やめなさいと言われれば、やめるしかないが…」と肩を落とす。
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