教官が「殺してやりたい」と暴言や暴行 男性自衛官が自殺 二審は国の責任認める判決
KKT熊本県民テレビ / 2024年10月2日 18時49分
自衛官だった男性が教官から嫌がらせや暴行を受けて自殺したとして、両親が教官2人と国を訴えた裁判で、二審の福岡高裁は2日、自殺に対する国の責任を認め、国に6700万円あまりの賠償を命じました。
2015年に遺書を残して自殺したのは、陸上自衛隊第5陸曹教育隊に候補生として所属していた当時22歳の男性です。この裁判は、男性が自殺したのは教官2人から嫌がらせのほか、「殺してやりたい」との暴言や暴行を受けたことが原因だとして、両親が教官2人と国に8100万円あまりの賠償を求めているものです。
一審の熊本地裁は指導と自殺の因果関係を認め、国に220万円の支払いを命じました。しかし、指導が短時間だったため「自殺は予見できなかった」として、死亡に対する国の責任は認めなかったことから、両親が控訴していました。
2日の判決で福岡高裁は、違法な指導により男性が受けた心理的負荷は強く、自殺に至ることは予見できたとして、国に6700万円あまりの支払いを命じました。教官2人の責任については退けました。
■原告の代理人弁護士 板井俊介弁護士
「地裁で認められなかった死亡に対する(国の)責任を真正面から認めたという意味において、逆転勝訴判決と評価して良い」
判決を受けて男性の母親は、「息子の死について、国に責任があることを認めて救ってくれたことについては評価したいと思います。若い命が散ることのない世界を示してもらいたく思います」とコメントしました。
陸上自衛隊西部方面総監部は、「判決内容を慎重に検討し、関係機関と十分調整した上で、適切に対応して参ります」とコメントしています。
【スタジオ】
防衛省と自衛隊での相次ぐハラスメント被害の背景に、組織の特性があると考えられています。
防衛省の有識者会議は、隊員の環境が「厳しい教育訓練や長期的な集団生活」に置かれ、適正な指導とパワハラの区別にズレが生じること、隊員同士の関係はよく家族に例えられ、「家族だから許される」という認識を生じさせかねないことを指摘しています。
パワハラの増加は、自衛隊だけではありません。熊本労働局によりますと、昨年度、熊本県内のパワーハラスメントの相談件数は794件で、上司から怒鳴られたり、威圧的な態度をとられたりするケースが多いということです。
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