【挑戦者たち】難聴の野球選手 富山からアメリカのトライアウトに挑戦
KNB北日本放送 / 2025年1月13日 19時28分
エブリィでは、今年にかける富山県内の挑戦者をシリーズでお伝えしています。
きょうは滑川市に住む聴覚障害のある野球選手です。県内の社会人クラブチームに所属していますが、今月、アメリカという夢の舞台に挑戦します。
■聴覚に障害がある中 アメリカのトライアウトに挑戦
黙々とバットを振り続ける選手、船田柊弥さん22歳です。船田選手は黒部市内の企業で働きながら、野球の社会人クラブチーム、富山ベースボールクラブに所属しています。
そんな船田選手の夢は…「このトライアウトではっきりさせたい。自分の人生の分岐点だと思っているので、ここで野球一本でいくのか、もう野球をやめて仕事に集中するのかをはっきりさせるためのトライアウトでもある」
船田選手は今月「アメリカ・カリフォルニア・ウィンターリーグ」に挑戦します。このトライアウトは、メジャーリーグや独立リーグのスカウトやコーチ陣が集まり、およそ1か月間、試合形式の中でテストを行います。
実力・言葉…クリアすべきことはたくさんありますが、船田選手の前には、もうひとつ大きな壁が立ちはだかります。
船田選手「難聴で、生まれたときから右耳は補聴器つけても聞こえない状況で、左耳だけ補聴器つけている」
生まれつき両耳に障害があり、左耳は補聴器をつけてわずかに聞こえますが、右耳はほとんど聞こえません。
小学5年生の時に野球を始め、高校は魚津工業に進学しました。
船田選手「ずっと野球がうまくなりたいって一心で高校生活もやっていた。朝から練習して。どこかで硬式で野球できる場所がないかなと思ったときに、富山ベースボールクラブを見つけて。諦めの悪さというか…諦めきれない部分があった」
クラブチームで外野手として活躍している船田選手。アメリカ挑戦という新たな夢を見つけ、野球漬けの日々を送っています。
仕事は2交代制で、日勤の日は仕事終わりにまずバッティングセンターへ行き、打ち込みます。
船田選手「一番好きなのはバッティング、飛ばすのが好き」Q気持ちがいい「そうです」
その後、向かったのは、富山市大沢野地域にあるクラブチームの練習場です。体育館を改造した手作りの練習場…決して恵まれているとは言えないこの場所で毎日練習に励み、アメリカに挑戦しようとしています。
船田選手「トライアウトにまず受かることが一番、やっぱりメジャーの派手なプレーにすごい憧れがあった。目指すのだったらメジャーかなと」
同期の中村活行選手「自分が出来ることを精一杯やっているので、そこは本当に尊敬しますね」
■夢の実現のために 仕事と練習両立の毎日
アメリカ挑戦の中で不安なことは。
船田選手「野球のプレーではそんなに不安とかはないんですけど、やっぱり…人としゃべる、人間関係とかコミュニケーションとか不安はある。プライベートでも、普通に友達と話すだけでも1回で聞き取れないっていうのがちょっとやっぱり…外野だけではなく内野からの声も全然聞こえないんで、ベンチからの声とかも。ここ1回で聞き取れたらなとか。映画見るのが好きなんですけど、映画見るときとかもあまりセリフとか聞こえないので。普通の人と同じだったら聞こえ方変わったのかなって思う」
船田選手は高校時代は8番バッターで、決して目立つ選手ではありませんでした。しかし、クラブチームで練習を重ね、3年目からはチームの主砲・4番打者へと成長しました。
船田選手「自分のスイング、強いスイングできるっていうのは、自分の中での特徴だと思っている」
「今からジムに行きます」Qどこのジムに「滑川にあるんですけど」Qまだ練習は終わらない「そうですね」
持ち味の力強いフルスイングを生み出しているのは、1年前から始めたパーソナルトレーニングです。チーム練習後も、まだまだ練習は終わりません。
横嶋智昭トレーナー「パワー自体はすごくポテンシャルが高い選手だったので、それがちゃんと連動性が高くなってきているところが、スイングスピードにつながってきている。ぜひ富山から世界にはばたいてもらって活躍してもらえたらうれしい」
朝9時から仕事をして、この日、練習が終わったのは午前0時でした。こうした生活をほぼ毎日続けている船田選手。全ては「夢の実現」のためです。
船田選手「自分の中では最初で最後の挑戦だと思っているので、自分の人生において後悔のないように、自分の特徴であるフルスイングとか思い切ったプレーを発揮できるようにしたい」
障害がありながらも、ひたむきに努力を重ねた「22歳の挑戦」がもうすぐ始まります。
船田選手は今月20日に渡米し、トライアウトに挑戦します。
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