「結婚だけが女性の幸せではない!」 これが現代のアイドル MV撮影でウエディングドレス着用を拒んだアンジュルム・和田彩花
TABLO / 2019年4月30日 12時0分
6月18日の日本武道館公演でグループから卒業するアンジュルムの和田彩花さん。4月10日にリリースされた和田さんにとってのラストシングルに収録されている『恋はアッチャアッチャ』のミュージックビデオでは、息を呑むような美しさのウェディングドレス姿を披露しています。しかし、この撮影時にちょっとした悶着があったというのです。
参考資料:アンジュルム・ラストシングルMV『恋はアッチャアッチャ』
4月23日にタワーレコード川崎店で行われたリリース記念トークイベントで和田さんはこんな裏話を披露したそうです。
常日頃から、「結婚だけが女性の幸せではない」ということを訴えてきた和田さん。しかし、アンジュルムとしてのラストシングルのミュージックビデオで用意されていたのが、まさかのウェディングドレス。この衣装を着ることを知らされていなかった和田さんは、当日現場で着たくないとマネージャーに主張。ついには言い合いになり、号泣したというのです。
関連記事:知らない人はここを皮切りに… 現ハロー!プロジェクトのリーダー・和田彩花が来春に卒業 | TABLO
もちろん、最終的に和田さんはウェディングドレスを着て撮影に挑み、完成した作品では最高の笑顔をみせているわけですが、その心の中には複雑な思いがあったのです。
現役の大学院生として美術史を研究している和田さんは、雑誌『blt graph.』vol.41(東京ニュース通信社)に掲載されたインタビューでこんな発言をしています。
「大学で美術の勉強をしていると、その時代その時代の女性のあり方について学ぶ機会が多いんです。そこで学んだことは、アイドルをやっている自分にもすごく影響したりするんですね」
さらに、『CDジャーナル』2019年5月・6月合併号(シーディージャーナル)でのインタビューでは、美術を通して考えさせられる「女性のあり方」について、こんな例を挙げています。
「たとえば昔の話ですけど、女性がお家のなかにいなくてはいけないとか、お仕事もできない人も多かったわけで。そういう中で作品ができていったのを知ったときに、現実にはこういう世界があるんだと知って。さらにそれを問題として見ると、自分のアイドル活動をすごく重なるところがあった」
どの時代にも「女性は〇〇でなければならない」といった固定観念のようなものがあり、和田さんはそこに疑問を抱きながらアイドル活動を続けてきました。そして、その固定観念の代表的なものが「結婚こそが女性の幸せである」という考え方なのです。もしも、最後のシングルでウェディングドレスを着れば、「女性のゴールは結婚」といった固定観念を肯定しているかのように見えてしまうのではないか──きっと和田さんはそう思って、ウェディングドレスを着ることを拒否したのでしょう。
和田さんは、「アイドルの幅を広げたい」と常日頃から話しています。それは「女性は〇〇でなければならない」といった考え方だけでなく、「アイドルは〇〇でなくてはならない」といった考え方にも疑問を呈しているということです。だからこそ、アンジュルムでは“多様性”が重要視され、メンバーそれぞれの趣味趣向、個性、やりたいことなどを尊重する方向性が打ち出されていました。
そういった状況の中で、「女性は〇〇でなければならない」の象徴と捉えられかねないウェディングドレスを着たならば、自身の考え方と矛盾するだけでなく、アンジュルムの方向性とも矛盾してしまいます。和田さんがウェディングドレスを拒んだのは、ただ単に自分の思想と異なる表現をしたくなかったからというだけでなく、アンジュルムの向かう未来の妨げになると考えたからなのかもしれません。
もしも、卒業後の和田さんであれば、ウェディングドレスを着ることはなかったでしょう。でも、今回はマネージャーと言い合いになりながらも結局はウェディングドレスを着ました。しかも、メンバーたちにその姿がきれいだったと言われ、「ま、いっか」という気持ちになったといいます。
つまり、和田さんは、ウェディングドレスを単純に美しい存在として認識するメンバーたちの考えを受け入れたということです。多様性が重要視され、個人の思想が尊重されるアンジュルムの中で、和田さんは自分の思想よりも、メンバーたちの素直な気持ちを優先したのです。たしかに和田さん的には不本意かもしれませんが、アンジュルムへの置き土産としてはこれほどまでに美しいものはなかったはずです。
YouTubeの番組『アプカミ#132』において、『恋はアッチャアッチャ』のミュージックビデオ撮影メイキングが配信されています。そこでZUMI監督は、和田さんのアンジュルム卒業を祝福する場のメタファーとして結婚式場というシチュエーションを作ったと説明しています。「結婚」や「ゴール」の象徴ではなく、あくまで「祝福」の象徴としてのウェディングドレスであり、だからこそ新郎もいなければ、バージンロードを一緒に歩く父親もいないのでしょう。
参考資料:YouTube番組『アプカミ#132』 ミュージックビデオ撮影メイキング動画
また、相手がいない状態なのに、ウェディングドレスを着て、その様子を多くの人に祝福されるというシチュエーションからは、「結婚」というシステムに対する強烈な批判的精神を感じ取ることができます。パラドクシカルではあるものの、「結婚だけがゴールではない」という和田さんの考えが、結果的に表現できたということでもあるのです。このように深読みをすれば、むしろ和田さんの思想を反映したウェディングドレスだったと考えられるのです。
最後の最後まで「女性のあり方」に苦悩した和田彩花。でも、多様性を実現するアンジュルムにおいて、その苦悩をメンバーたちに押し付けることはしかなったのです。後輩たちを下手に“和田彩花色”に染めたくない、後輩たちにはのびのびと自分の思う方向に進んでほしい──そんな和田さんの願いが表れたミュージックビデオだったと言えるでしょう。
関連記事:『共感』ばかりを他者から求められる時代に『NO!』を叩きつける アンジュルム史上最高のシングルを発売! | TABLO
和田さん自身は、その気持ちのすべてを語るタイプではなく、心の奥底で何を考えているかは本人にしかわかりません。だから、ここに綴られた内容は想像の域を出ないものです。でも、和田さんが苦悩の末にウェディングドレスを着たという事実を知れば、その美しさもより輝くものになるはずです。どうぞ、コミカルな楽曲イメージからは想像できないほどの複雑な思いが入り混じる『恋はアッチャアッチャ』のミュージックビデオをご堪能ください。(文◎大塚ナギサ)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
BEYOOOOONDS 東海道新幹線でのMV撮影秘話 “りかみよ”コンビにクレーム
日テレNEWS NNN / 2024年5月29日 22時22分
-
和田彩花、アイドル時代抵抗があったこと明かす「人に見られたらとか…」
モデルプレス / 2024年5月29日 15時40分
-
和田彩花 アイドル時代の悩み 体調不良でも婦人科に行けず「人に見られたら…それが怖くて」
スポニチアネックス / 2024年5月29日 11時54分
-
STU48甲斐心愛 KLP48完全移籍の理由明かす「人生をかけて全力で頑張ろうと」
東スポWEB / 2024年5月19日 10時59分
-
元アンジュルム・和田彩花&福田花音、相川茉穂が撮影した2ショットを公開「激アツすぎ」
エンタメNEXT / 2024年5月12日 11時0分
ランキング
-
1【“長持ち食品”は安全なのか?】添加物が入っていないように見える食品表示のカラクリ「素材から離れるほど添加物が多くなる傾向」
NEWSポストセブン / 2024年5月29日 16時14分
-
2一体何が…岐阜の老舗料亭が市と“立ち退きトラブル” 直撃取材に五代目社長「退去は一方的で納得できない」
東海テレビ / 2024年5月29日 17時57分
-
3「みんな死んじゃう」現場緊迫 東海道線踏切事故 運行優先で連携不十分の声も
産経ニュース / 2024年5月29日 20時50分
-
4iPhoneにマイナンバー機能 首相、アップル社と合意へ
共同通信 / 2024年5月29日 21時56分
-
5JR東日本など鉄道8社は「QR乗車券」に移行へ 利用者から「便利かも」「違和感ある」の声
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月29日 17時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください