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「本丸」を守り切った旧ジャニーズ事務所と真実を聞き出せず拍手するメディアの惨状

TABLO / 2023年10月4日 18時0分

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やはり再度、記者会見をするげきだろう。

「何の為の記者会見だったかのか」–。

10月2日14時から開かれた、旧ジャニーズ事務所(以後スマイルアップとも表記)の会見を見ての思いです。

まず、この会見は、前提として9月7日のジャニーズ事務所(当時)の会見を受けてのものになります。ここでは4時間による長時間の記者からの応答で終始されました。それではラチがあかないという事で、2日に改めて会見をする。そこで生まれ変わったジャニーズ事務所をメディア及び被害者、ファンに披露するというのが会見のテーマだったはずです。

そして、そもそもこの会見をさせたのは間接的にはBBC。直接的には8月29日に公表された「外部専門家による再発防止チーム」の報告書の痛烈さによるものです。この報告書では数百人の被害者がおり、それはジャニー喜多川氏の性加害によるもの。また、見て見ぬふりをした旧ジャニーズ事務所幹部たちの責任が明記されてあります。

この会見は「世界に類を見ない性加害事件」を扱うものです。単なる芸能人の不倫会見などではないのです。後述する拍手をした記者、ライター、リポーター、そして壇上の東山紀之新社長、井ノ原快彦副社長らは事の重大さを認識しているのかはなはだ疑問です。

世界的犯罪。ジャニーズ事件がどれほどれものなのか、他の世界的性加害事件を羅列してみます。

・アメリカの大物映画プロデューサーの「ハーベイ・ワインシュタイン事件」。ワインシュタイン服役囚は女優に数10年にわたって性加害を加え、米ロサンゼルスの裁判所に禁錮16年の刑を言い渡され、禁錮23年に加えられました。

・イギリスの大物司会者ジミー・サビルは死後、BBCの告発で500人近くの性加害を与えた事が明らかになり、爵位をはく奪されました。

・アメリカ「ボストン・グローブ紙」はカトリック教会で数十人の神父の性加害の事実を公表し、ビューリッツア賞受賞。「スポット・ライト」として映画化。

そして、日本です。
ジャニーズ事務所の性加害がBBC「捕食者」(タイトル名)によって、世界中に知られる事になりました。再発防止チームの報告書によると、ジャニー喜多川氏から被害のあった国連の人権チームが調査するほどの事件になった訳です。約50年にわたって数百人の未成年男子に性加害をしていました。

再度、外部専門家による再発防止チームの報告書のジャニー喜多川氏の「性加害」(P19)を見てみます。

これが「基」なのです。

「1950 年代、ジャニー氏が小学校低学年男児であった被害者の自宅に泊まった際に、あるいは遊びに来た同級生の男を自宅に送る車の中で、口腔性交などの性加害が繰り返された(ジャニー氏 20 歳頃)」

そしてP21「性加害の概要」(ア)の最後にはこう結ばれています。
「ジャニー氏は、古くは 1950 年代に性加害を行って以降、ジャニーズ事務所においては、1970 年代前半から 2010 年代半ばまでの間、多数のジャニーズ Jr.に対し、上記のような性加害を長期間にわたり繰り返していたことが認められる」

実姉メリー喜多川氏はこの性加害の関わりには、
「メリー氏はジャニー氏の性加害を認識していたと推認するのが合理的かつ自然であると考える」(報告書。P26 (4) 性加害に関する認識 (ア)より)と明記。

また前代表取締役藤島ジュリー景子氏の関与には、P28「性加害の認識」(イ)よると
「ジュリー氏は、取締役就任時頃には、ジャニー氏によるジャニーズ Jr.に対する性加害の疑惑について認識していたと認められる。」とあります。

つまり「知っていた」のです。

更に黒幕とも言われる元代表取締役白波瀬傑氏は、P28「性加害の認識」(ウ)によると、「ジャニー氏の性加害が事実であることを認めている。」と報告されています。

この報告書を素直に読めば「全員知っていた」のです。これを9月7日の会見で旧ジャニーズ事務所側は報告書の記載を認めた訳です。今回のコトの経緯です。


更に、メディアの責任についても報告書は記載。

P59の4「マスメディアの沈黙」では「ジャニー氏の性加害の問題については、過去にいくつかの週刊誌が取り上げてきたものの、2023 年 3 月に BBC が特集番組を報道して、その後、元ジャニーズJr.が性加害の被害申告の記者会見を行うまで、多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった」。

すなわち、1970年代から2010年代半ばまでジャニー喜多川氏の蛮行を助長させていたのは、テレビ、主要スポーツ紙であり、今更、手の平を返す行為自体恥ずべきものです。自らの報道姿勢を自社で第三者委員会に調査して、公表すべきでしょう。
さらに恥ずべき人たちは、上記報告書を読んたのか読んでいないのか分かりませんが、未だに「罪を擁護」するスポーツ紙、ネットメディア、芸能レポーターらです。
なのでもう一度言わなければなりません。今回の会見は【「世界に類を見ない性加害事件」を扱うものです。単なる芸能人の不倫会見などではないのです】。

そして、立派な大人になった元ジャニーズタレントだった男性たちが、今も涙を流して告白している姿をテレビ番組「クローズアップ現代」(NHK)や「報道特集」(TBS)や「捕食者」(BBC・ネットフリックス)で見た人も多くいるでしょう。
2日の会見こそ、旧ジャニーズ事務所の「本音」を世間に公表し、「どのように反省し、どのように変わったのか」を発表する「本番の会見」だったと言えます。

にもかかわらず、翌日の一部、スポーツ紙及びネットメディアのも見出しを見ると

・井ノ原氏に拍手も、ジャニーズを救った暴走質問 藤島氏不在のマイナスを薄めた大荒れ会見(東洋経済オンライン10月3日)

・ジャニーズ会見、質問下手な記者に視聴者イライラ「話が長い」「説教の場じゃないぞ」と批判 レベルの低さに呆れ(ORICON NEWS 10月2日)

・ジャニーズ事務所会見、元朝日新聞の尾形聡彦記者が“ルール破り”おねだり 井ノ原が申し訳なさそうに「ご質問されたのを聞いちゃった…」(ORICON NEWS 10月2日)

・ジャニーズ事務所会見、望月衣塑子記者が“大暴走” 順番守れず井ノ原快彦がなだめる「落ち着いていきましょ」(ORICONNEWS 10月2日)

・2度目のジャニーズ会見で感じた「次に変わるべきはメディア側」…キャスティング、記者の態度(ENCOUNT 10月2日)

・またしても株を上げた井ノ原快彦 山田美保子氏(デイリースポーツ 10月3日)

ジャニーズ寄りのものをピックアップしましたが、こんな恥ずかしい記者がいるから報告書に「多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった」などと書かれてしまう訳です。勿論、中には後述する僕が感じた違和感、嫌悪感を抱いた人が書いた記事もあった事も追加しておきます。

 

●1人1問、2時間の記者会見で済まされるレベルの事件なのか

後述する、東京新聞望月衣塑子記者らの長い質問やマイク無し質問等で焦点がぼやけました。ノイズが入りまくった会見記事が散見されます。そこで、あの会見からノイズを取り払い分解・解析していきたいと思います。

まず会見を仕切ったスマイルアップ側の対応の問題。これは何度も言いますが、芸能人の不倫会見ではありません。世界的性加害の事件の会見です。1人1問、2時間の会見で終わる訳がないです。今回は仕切りは前回のアメリカのコンサル会社FTIかどうか分かりませんが、これだけを見ても「会見下手」「仕切り下手」と言わざるを得ません。

そして、今回も当事者が来ていませんでした。本記事の上記を見てください。防止チームの報告書で個人名が出たのは、ジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏、ジュリー景子氏、白波瀬傑氏です。この四人です。そしてこのうちジャニー氏、メリー氏は故人です。で、あるならば存命のジュリー景子元代表取締役と白波瀬前取締役が出席するのが筋です。一般の会社の不祥事でも代表取締役が会見します。

前回、ジュリー氏が出席しましたが今回はパニック障害だから欠席とのこと。では、ただ1人、報告書に名前が出ており、体調の不調なども公開されていない白波瀬氏はどうしたのでしょうか。彼こそ、今回出席出来て有効な答えを出せる唯一の人物だったはずです。

なぜ、こうまでして白波瀬氏を護るのか。白波瀬氏こそ、ジャニーズの黒い部分を最も知っているとまで言われています。結局、このまま黙ったまま都合よく忘れ去られていくような気がしてなりません。
出席者に当時の責任者がいない。1人1問で2時間限定。こんな記者会見がありますか。テーマがテーマです。一般企業の不祥事や不倫ではなく、世界的な問題となっているハラスメントを扱う、刑事事件です。

恐らく一昔前の政治記者なら、このルールを見ただけで騒いだでしょう。我々をなめているのか、と。芸能記者もそうです。例えば梨元勝さんがご存命なら、会見に入る前にこの事について、詰問したのではないでしょうか。

梨元さんは、ジャニーズ不祥事の度に、稲垣メンバーや山口メンバーと称する事に異論を唱えていたはずです。結果テレビで見る事はなくなり、現在ワイドショーをつけると、不倫問題には食いつく(弱い者には強い)わりに、大きな事務所のスキャンダルには事務所側につき、どちらに筋がとおっているのかを判断できない芸能レポーターばかりになりました。

 

●荒れる記者会見があっても良い

ルールを守ろう。一見子供じみた主催者からのお願いですが、分からないでもありません。

例えば、数年前、日大アメフトタックル事件がありました。日大VS関西学院大のアメフトの試合で、コーチの指示でわざと後ろから日大選手がタックルに行った、というものでした。この時はタックルした日大の選手が弁護士は連れていましたが、たった一人で会見を行いました。わずか20歳くらいの部員でした。彼はコーチの指示でしたにも関わらず。
被害者かも分からない学生をワイドショーのリポーターやスポーツ紙の記者らは質問を浴びせました。さすが弱い者には強い。更問(質問をしたあと、関連の質問をする。一個の質問とみなされる)をしたリポーターもいたと記憶していています。この時は1人一問を守るべきでした。学生が晒し者になっているかのようでしたから。

が、例えば政治家の不祥事は荒れる事もあるでしょう。確かに政治記者が正義感に酔っているケースも見受けられます。しかし、権力者である政治家に噛みつくくらての気概が欲しいものです。

石原慎太郎元東京都知事に一喝されて、下を向いてしまう記者もいましたが、喧嘩くらいして良いのではないでしょうか。ここで、1972年佐藤栄作元首相が辞任会見の時、キレて「新聞記者とは話したくない、帰ってくれ」と怒鳴った時に記者も逆ギレして「分かりました。帰ります」と全員引き上げ、1人ぼっちで退陣会見をした光景を思い出しています。これくらい緊張感があっても良いのです。

東京新聞望月衣塑子記者が、前回の9月7日の会見で4分の質問をしたと、批判が起きました。確かに長いです。そしてそれは「質問下手」とも言えます。短い質問で長い回答を引き出すのが上手い記者・インタビュアーのやり方です。

望月記者は最初の1分くらいまでで止めておけば良かったのです。つまり「東山新社長は性加害をしているのか。『SMAPへ』では具体的に書かれている」と言い、東山氏の性加害の箇所を読み上げました。東山氏は否定。そこで「では本の著者が嘘をついているのか、東山さんが嘘をついている事になる。どちらが嘘をついているのか」とイエス・ノー方式の問いを投げかれば良かったのです。

そこで止めないでいるから自分の主張が入ってしまい、結果東山氏は一般論の回答しか(すなわち綺麗事)しか言いませんでした。質問下手と言われても仕方ないでしょう。
また、前日の性被害にあった当事者の会では、なぜか被害者に問い詰める形になり、被害者服部良一さんのご子息の奥様からたしなめられるという、みっともない状況を公開されてしまいました。

なので、問題があると言えばあるのですが、前記したように1分で止めておけば良い場合もあるので、その空気の読めない猪突猛進ぶりも良いように転がる可能性もある訳です。
記者会見場にいた、記者、ライターからは「こちらはルールを守っているんだからマイク無しの質問は止めてくれ」というのも分かるのですが、そもそも前記したように会見自体、当時者はいない、二時間で終わられるという、この事件を軽く見ているのはと思われても仕方ないスマイルアップ側の対応が良くないのです。

また、望月記者の質問を批判すると「冷笑」という批判が来るのですが、冷笑という言葉を安易に使い過ぎです。かつて、ヘイトの解釈をどんどん広げて、「痛烈な批判」をもヘイトと言う政治家がいましたが勉強不足です。
冷笑は被害者の立場に立っていない、あるいか想像していない発言の事を指します。具体的にはひろゆき氏の辺野古で座り込んでいる人たちへの、心ないコメントですが望月記者は何かの被害に遭っていますか? これは批判です。何かを言ったら批判されます。あるいは好評を得ます。これは言論の自由の範疇なのです。

 

●井ノ原氏賛美の気持ち悪さ

その望月記者の不規則質問に「ルールは守りましょうよ、子供も見ているんですから」とたしなめた、井ノ原副社長の株が上がった、かのような記事が前記のように散見されました。そこに何と拍手がおきました。多分、望月記者らにイラ立った記者、リポーターたちからだと思いますが、何回も言います。この会見は世界でも類を見ない大規模で、根が深い性加害の問題です。アメリカのワインシュタインやイギリスのジミー・サビル並みの醜悪な犯罪です。そしてどう被害者と向き合うのか。

その「誠意」を示すべき会見でした。

被害者は、拍手を聞いてどう思ったでしょう。呆れたのではないでしょうか。不倫でも大麻でもないのです。不倫なら、当事者同士で解決しても良いでしょう。大麻は犯罪ですから大人しく、裁判を経て判決を粛々と受けます。ただ、これは478人の被害者が申し立てている事件です(何というおぞましい数字でしょう)。アラフォー、アラフィフの大人が涙を流して性加害を告白していた動画を見た人もいるでしょう。

報告書のP24「性加害の影響」では
「性被害を人に話せば、自分のことも「変態」「お前やられたんだろ」とからかわれる」「度重なる幻聴やフラッシュバックで」「昔の事を思い出し過呼吸になります。」

といった被害者の、当時者にしか分からない痛烈な言葉が目に入ってきます。この人たちをどう救うかの記者会見であって、「イノっち、良く言ってくれた」と拍手をする場所ではないのです。拍手をした人は記者の矜持、書き手の矜持をなくした人なのだなと思っています。

そして、この会見はたった二時間で「ルールを守って」終了しました。未だハラスメント疑惑が残る東山新社長。逃げおおせた白波瀬氏。恐らく今後、表に出る事はないジュリー景子氏。メディアにはまだ事の重大さが分からずに国内問題だと思っている人たちが存在。

どうもこの問題はアメリカやイギリスのように、解決することがないように思えました。ただ、当事者の会との面会が公開で行われれば、また潮目は変わってくるでしょう。(文@久田将義)

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