衆院選19日公示! 活発化する「選挙活動」 選挙カーの騒音問題は「警察に通報」で問題ないのか
くるまのニュース / 2021年10月18日 9時10分
2021年10月14日、岸田総理大臣は衆議院を解散したことにより、衆議院議員総選挙が同月19日公示、同月31日投開票となりました。新型コロナウイルスの対策や経済政策などが争点になり、街中では選挙カーによる選挙活動がおこなわれます。しかし、拡声器から聞こえる音量はかなりのものであり、「騒音」と感じる人も少なくありません。選挙カーの音量について、警察に通報して対処してもらうことは可能なのでしょうか。
■選挙カーの爆音、通報は可能?
岸田総理大臣は、2021年10月14日に衆議院を解散しました。
これにより、衆議院議員総選挙の日程が同月19日公示、同月31日投開票となりました。今回の争点は、新型コロナウイルス対策や経済政策などになり、街中では選挙カーによる選挙活動がおこなわれます。
しかし、選挙カーの拡声器から聞こえる音量はかなりのもので「騒音」と感じる人も少なくありません。これまでも選挙カーに対しては「選挙カーの放送がうるさい」といった声がSNSで見受けられます。
各地で騒音トラブルに発展するなど、時折問題視される選挙カーの街宣行為ですが、迷惑に感じた際にはどうしたら良いのでしょうか。
この問題について、兵庫県内にある選挙カーレンタル店の担当者は、次のように話します。
「弊社で提供している選挙カーの大半は、規模の小さい車両になります。そのため、スピーカーのワット数も100W程度となり、地域住民に迷惑がかかるような音量ではないため、騒音に関するクレームを寄せられたことはありません。
騒音トラブルが発生するのは、主に規模の大きい選挙のようです。そのような選挙で使われる車両は選挙事務所側で手配されることが多いとされます。
参議院や衆議院の選挙など、より広い範囲で選挙活動がおこなわれる場合、クルマもハイエースのような大きい車種が使われるほか、スピーカーも4個から5個装備しています。その結果、音量が大きくなったことでクレームを受け、トラブルに発展することがあるようです」
業者によってレンタルされる場合は小規模の選挙が多く、トラブルに発展する可能性は低いようでした。しかし、都心部でおこなわれるような規模の大きい選挙では、周辺が高い建物で囲まれて音が反響してしまうなどの要因から、より騒音と感じる人が多いとのことです。
では、大規模な選挙で使われる車両の音量は、法的に問題ないのでしょうか。
まず、一部を除く地方自治体では、拡声器による暴騒音に関しての条例を定めています。
例として、東京都の条例では、放送宣伝活動において都民の日常生活を脅かす騒音の発生は防止することが求められています。
条例では、政治活動においては拡声器による活動が不当に制限されるべきではないとしており、定められた範囲内の音量であれば、一概に騒音とは認められないようです。
選挙カーの音について警察に通報しても、法的には問題のない行為として取り合ってもらえない可能性があります。
では、音量を下げてもらうためには、どのような行動が効果的なのでしょうか。前出のレンタル選挙カーの担当者は、次のように話します。
「選挙カーの騒音で困っている場合は、各議員の事務所に音量を下げてほしいとお願いするのが一番効果的でしょう。事務所側も、有権者の声に耳を傾ける姿勢でいます。騒音は、スピーカーのボリュームを絞ることで解決できる問題なので、各自で問い合わせをしてみてください」
選挙カーの音量を抑えてほしい場合は、警察ではなく選挙事務所へ連絡したほうが効果的だといえます。
■ルール違反の政治活動は、警察に通報可能
各自治体が定める条例では、政治活動における拡声器の利用について具体的なルールは設けられておらず、警察による対処はあまり期待できないようです。しかし、公職選挙法においては、拡声器の使用に関して時間帯や場所など、細かいルールを設けています。
公職選挙法 第百四十条では、拡声器を使った選挙活動は、「午前8時から午後8時の時間帯に限る」としているほか、「学校や保育園、病院、診療所、その他の療養施設の周辺では、拡声器を使った活動が許可されていない」としています。
上記の規定に違反した選挙活動をおこなっている場合は、警察に通報して然るべき対処をとることができます。
基本的には条例で守られている選挙活動も、法律を違反している場合は、警察による対応が期待できます。
公職選挙法に抵触する可能性があれば警察に通報を!
なお、選挙カーの騒音に耐えきれず、なかには選挙の妨害に踏み切ろうとする人がいますが、過去には妨害行為によって逮捕者も出ています。
事件は、2007年7月に札幌市内でおこなわれた衆院議員の選挙で起こりました。当時、女性候補者の選挙カーに向かって、「うるさいんだ、この野郎」と怒鳴りつけて窓ガラスを叩いた男性が現行犯逮捕されています。
このように、選挙カーの演説を打ち消すような妨害は、公職選挙法の第二百二十五条において、選挙の「自由妨害罪」にあたると規定されています。
罰則は、4年以下の懲役あるいは禁錮または100万円以下の罰金と、非常に重い内容です。実力行使で選挙演説を止めようとするのは絶対にやめましょう。
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