無骨な見た目こそ速さの証だった! 昭和のGTカー5選
くるまのニュース / 2020年10月30日 6時10分
かつて、国産車の高性能グレードといえば「GT」を冠したモデルで、昭和の時代は各メーカーからラインナップされていました。そこで、無骨な見た目で高性能さをアピールしていたGTグレードを、5車種ピックアップして紹介します。
■昭和の高性能グレード「GT」を振り返る
ひとつの車種でさまざまなグレードを設定するのが一般的で、装備やエンジンの違いから、廉価なモデルから高額なモデルまで、予算や使用状況によって選ぶことができます。
なかでも高性能なモデルというと、かつては「GT」を冠したグレードが浸透しており、昭和の時代は各メーカーからラインナップされていました。
GTとは「グランドツーリングカー」や「グランツーリスモ」の略で高性能モデルを指し、欧州で誕生したカテゴリーです。
そこで、無骨な見た目で高性能さをアピールしていた頃のGTグレードを、5車種ピックアップして紹介します。
●いすゞ「ベレットGT」
国産車でGTカーの元祖といわれる「ベレット」(画像はGT typeR)
いすゞは高速時代の到来を先取って1963年に新開発の小型乗用車、「ベレット」を発売。そして、翌1964年にはレースで培った技術をフィードバックした「ベレット1600GT」が登場しました。
ベレット1600GTは「ベレG」の愛称で呼ばれ、2ドアクーペには、日本初のディスクブレーキや、前輪ダブルウィッシュボーン、後輪ダイアゴナルスイングアクスルの組み合わせによる4輪独立懸架を採用し、高いコーナリング性能を発揮。
さらに、ラックアンドピニオン式ステアリングギアボックスによる鋭いハンドリングを兼ね備え、「和製アルファロメオ」といわれたほどです。
そして、1969年の「鈴鹿12時間耐久レース」で優勝した「ベレットGTX」の市販バージョンとして、「117クーペ」用の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「ベレットGTR」(最終型の名称は「ベレットGT typeR」)を発売しました。
最高速度190km/hのスペックだけでなく、強化されたサスペンションやブレーキブースターの装備、黒とオレンジが特徴的なボディカラーやフロントのバンパーを分割した間にセットされた補助灯など、以降のいすゞ製スポーティモデルが「硬派」と呼ばれるようになる源流となります。
●トヨタ「カローラGT」
「レビン」とは異なるラインナップで存在した「カローラGT」
トヨタは、1970年に発売された初代「セリカ」に1.6リッター直列4気筒DOHCエンジン「2T-G型」を搭載したことで、それまで特別な存在だったDOHCエンジンを身近な存在にしました。
そして、1972年には大衆車「カローラ/スプリンター」の高性能モデルとして、2T-G型エンジンを搭載した「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場。
この2T-G型エンジンは、その後カローラレビン/スプリンタートレノだけでなく、セダン、ハードトップなどの高性能グレードである「GT」にも搭載されました。
4代目にあたるカローラGTの「2T-GEU型」エンジンは最高出力115馬力を発揮。後期型では、燃焼室形状の変更などにより圧縮比が8.4から9.0まで高められ、最高出力は変わりませんが、トルクについてはキャブ時代の性能を凌駕しました。
カローラGTは2ドアハードトップ、3ドアリフトバック、4ドアセダンに設定され、フロントグリル中央にGTのエンブレムが装着され、ボディサイドには小さく「DOHC EFI」のステッカーが貼られるなど、控えめに高性能さをアピール。
その後、カローラシリーズは1995年に登場した11代目を最後に、GTグレードは廃止となってしまいました。
●三菱「ランサーEX 1800GTターボ」
再び高性能なエンジンでスポーティに進化した「ランサーEX 1800GTターボ」
1979年に発売された三菱2代目「ランサーEX」シリーズは、ラリーで活躍した初代に比べて100kg以上増えた車重に加え、排出ガス規制によって牙を抜かれた1.4リッター、1.6リッターエンジンでは力不足は否めませんでした。
そこで、1980年に1.8リッター直列4気筒エンジン搭載車が追加され、さらに、1981年に、最高出力135馬力を発揮する1.8リッターターボエンジンを搭載した「ランサーEX 1800GTターボ/GSRターボ」が登場。
トランスミッションは5速MTのみで、サスペンションも専用にチューニングされており、コントローラブルなハンドリングのFR車となっており、かつての高性能なランサーが復活。
その後、ライバル車が続々とパワーアップするなか、ランサーターボも1983年のマイナーチェンジでインタークーラーが装着され、最高出力は160馬力まで向上しました。
ラインナップのなかでも1800GTターボは装備が簡素化され、パワーステアリングすら設定されないなど、硬派なモデルです。
■ライバルとして激戦を繰り広げた2台の「GT」とは
●日産「スカイラインGT」
スタンダードなモデルのなかでも日産を代表するGTの3代目「スカイライン」
1957年にプリンスから発売された初代「スカイライン」は、先進的なメカニズムを採用する主力セダンとして誕生。そして、1963年に登場した2代目では、6気筒エンジンを搭載した「スカイラインGT」がレースで活躍したことで、スポーティセダンとして、広く知れ渡りました。
1966年にプリンスと日産が合併した後は、1968年に3代目となる日産「スカイライン」に生まれ変わりました。
トップグレードに直列6気筒エンジンを搭載した「2000GT」を設定し、長いエンジン長からロングノーズとなっていたことで、オーソドックスなセダンスタイルでありながら伸びやかなフォルムを実現。
1969年には、2リッター直列6気筒4バルブDOHCエンジンを搭載した、初代「スカイラインGT-R」が誕生。同年にはフロントグリルやテールランプの意匠変更をおこない、1970年にはホイールベースを短くして運動性能を高めた2ドアハードトップが追加ラインナップされました。
全体的に四角いスタイルから後に「ハコスカ」の愛称で呼ばれるようになった3代目スカイラインは、日産を代表するGTとして人気を博し、「スカG」として代を重ねました。
●マツダ「サバンナGT」
高性能なロータリーエンジンを搭載して打倒スカイラインを果たした「サバンナGT」
1971年に登場したマツダ初代「サバンナ」は、世界初の量産ロータリーエンジン車である「コスモスポーツ」から数えて通算5車種目のロータリーエンジン搭載車です。
発売当初は2ドアクーペと4ドアセダンが設定され、高性能な491cc×2ローターの「10A型」エンジンを搭載しながら比較的価格が安かったために、若者を中心に人気が高まりました。
1972年には、573cc×2ローターから最高出力120馬力を誇る「12A型」ロータリーエンジンを搭載した「サバンナGT」を追加ラインナップ。
1971年から参戦していたツーリングカーレースでは、スカイラインGT-Rの連勝を阻み、1972年のレースには1位から3位までの表彰台をロータリーエンジン搭載車が独占するなど、圧倒的な動力性能を誇りました。
その後、マツダのGTは、1978年発売の初代「サバンナRX-7」に引き継がれるとともに、1985年に登場した高性能モデルで、国産乗用車初のフルタイム4WDを採用した「ファミリアGT/GT-X」に採用されました。
※ ※ ※
現行の国内モデルでは、GTの名を冠したグレードは激減してしまいました。
たとえば日産では伝統的にスカイラインがGTを継承していますが、ほかのモデルでは「フーガ」のみです。また、トヨタは「86」のみとなってしまいました。
そんななか奮闘しているのがスバルで、新型「レヴォーグ」ではしっかりとGTグレードを主軸に展開しており、グランドツーリングカーというコンセプトを体現しています。
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